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=秋のグリーンウエーブ行動= 自給率向上、米危機打開など全農協組合長と17市町村長から賛同(2025年02月10日 第1637号)

県内全市町村長・農協組合長を訪問

いわて食・農ネット

価格転嫁が大きなテーマに(JA新岩手)

 いわて食・農ネット(いわて食・農・地域を守る県民運動ネットワーク)は11月、全国食健連が提起する「秋のグリーンウエーブ行動」の一環として、県内の全市町村長と農協組合長を訪問する要請行動を行いました。

適正な米価格を 鳥獣被害は深刻

 要請では、自給率向上を柱としながら米危機打開や食の安全を求める国への要請書に賛同を求めました。その結果、7農協すべての組合長と33市町村中17市町村長から賛同が寄せられました。要請書は、12月18日に都内で開催された全国食健連の集結行動で農林水産省に提出しました。
 米危機については、米の生産を減らし続けて需給に責任をもたない政府に対する批判の声が相次ぎました。多くの自治体幹部・組合長からは米価高騰について「これでようやく適正な水準になったのが実態」「価格はコストを吸収できる水準でなければ」という声と同時に、「国は備蓄米の適切な運用を」という意見が出されました。
 「イノシシ・シカ・クマなど、なんでもいる」「サルの被害も深刻」など、鳥獣害は全県に共通する悩みとなっています。自治体独自の対策を講じている所が多く、「補助率を上げたら、前年は申請が1件だったが、今年は10件になった」(普代村)など、努力の様子も語られました。

基本計画反映へ世論を大きく

 各市町村では、地場産品を活用した学校給食が取り組まれています。「米は100%町内産」という自治体が増えています。そして、学校給食無償化に向けた努力も始まっています。「住んでいる町によって、無償だったりそうじゃなかったりするのは子どもの権利を損なうもの。国が責任をもって無償化をしてほしい」という声も出されました。一部の自治体では食材高騰を受け、給食費を値上げせざるを得ないという実態もありました。
 農地を守る立場で、地域ごとに転作が行われています。しかし「5年に1度水張りをしなければ支援の対象外」「飼料用米への支援を削減」など、転作支援の切り捨てを政府は次々と進めています。「飼料用米を活用している畜産農家がたいへん。制度を継続してほしい」など、制度改悪への批判が相次ぎました。
 政府への要請への賛同の可否にかかわらず、どこでも共通していたのは自給率向上に対する政府の責任を求める声です。3月には、「食料・農業・農村基本計画」が改定されます。全国食健連は、基本計画に自給率向上を明記させる運動に取り組んでおり、県内でもグリーンウエーブ行動の成果を力に、もうひとまわり世論を広げることが求められています。
岩手県農民連 岡田現三