世論と運動で原発ゼロを決断させよう 原発なくす会が総会
第7次エネルギー基本計画見直しを
原発ゼロを目指して運動している「原発をなくす全国連絡会」は1月29日、東京都内と全国をオンラインでつないで第13回総会を開催しました。(写真下)
建て替えや新規建設姿勢に拡張

冒頭、全日本民主医療機関連合会の岸本啓介事務局長は、昨年12月に第7次エネルギー基本計画案が政府から示されたことに触れ、「原発をめぐる極めて危険な局面が広がろうとしている」と重大視しました。「脱炭素の実現を口実に、政府が掲げてきた『可能な限り原発依存度を低減する』を削除し、原発の最大限の利用を方針に掲げようとしている」と告発。原発の建て替えや新規建設にも取り組む姿勢を露わにした政府案に対して、「私たちは強く抗議しなければならない。これからの1年の方針を練り上げていこう」とあいさつしました。
今も原発被害に苦しむ県民たち
福島県からの報告として、ふくしま復興共同センター代表委員の野木茂雄さんが発言。野木さんは、(1)福島第1原発2号機の燃料デブリの試験的取り出し、(2)アルプス処理水の海洋放出から1年5カ月が経過、(3)第7次エネルギー基本計画案の発表――の3点について報告しました。
(1)について、昨年11月7日に初めて燃料デブリ取り出しに成功したが、それは880トンあると推定される全体のうちのわずか0・7グラムに過ぎず、「2051年に廃炉完了とする工程表の抜本的見直しが必要だ」と指摘。(2)について、1月27日付「福島民報」で処理水を薄める海水移送配管に複数の腐食が見つかり、東電が緊急補修を発表した報道を受け、「ひとたび『想定外の事態』が起これば漁業者と県民の努力は一瞬で台無しになってしまう」と重大視。アルプス処理によって発生するスラリー(高濃度放射性物質を含む泥の廃棄物)の問題とあわせて、「汚染水の新たな発生を抑えないと問題は解決しない」と強く指摘しました。(3)について、「今もなお原発被害に苦しむ県民の実態が続く中で、なぜ『原発の最大限利用』などと言えるのか!」と語気を強めました。
野木さんは「原発事故は国の責任と認めさせ、原発ゼロを決断させる世論と運動を力を合わせて築いていこう」と呼びかけました。
国際合意無視の計画の見直しを
団体や各地からの報告で農民連の斎藤敏之常任委員が発言し、「23年のCOP28(気候変動枠組み条約第28回締約国会議)で合意された再生可能エネルギー容量の3倍化の国際合意を無視し、原発の再稼働・新増設のために、再生可能エネルギーへの依存を抑制する計画は、直ちに見直すべきだ」と表明しました。
また、原発事故後、福島県の農民がいまだに放射能汚染が残る農地で営農していることについて、「農民は農地一筆ごとの実地調査を国に対して繰り返し求め続けている」と報告しました。
総会ではこの他、原発立地県の運動と全国の運動を押し上げる取り組みや、新たに「原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める請願署名」スタートなどの議題が採択されました。