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企業は食の安全に責任を負う 企業は社会的責任を果たせ 食品安全グローバルネットワークが院内学習会(2025年03月03日 第1640号)

 特定非営利活動法人「食品安全グローバルネットワーク」は2月6日、参議院議員会館内で「食の安全と企業倫理」についての学習会を行い、市民や国会議員が参加しました。

報告する中村代表

 弁護士の松本恵美子さんが「既発生の食品汚染事件における問題点」について報告。産地・食材偽装や消費・賞味期限の改ざんなど、近年の相次ぐ食品事件を振り返り、その他にも関税制度の悪用や食品汚染による健康被害などが後を絶たないことが紹介されました。
 1955年と2000年に起こった雪印乳業集団食中毒事件をはじめ、青カビ由来の細菌が混入し健康被害が多数出た2024年の小林製薬コレステヘルプ事件では、機能性表示食品制度のあり方が問われ、その見直しが行われた経緯を説明しました。
 食ジャーナリストの小倉正行さんは、「食品企業の倫理」について、経団連の考え方を示しながら報告。主な食品関連企業が経団連に加盟していることを指摘し、1991年に証券会社や金融業界を揺さぶる不祥事が発覚したのを受け、経団連が企業行動憲章を策定した経緯を語りました。
 とくに経団連の会員である小林製薬が、最初に死者が報告されてから2カ月間、その事実を報告しないまま流通停止や摂取禁止などの措置もとらず、被害を拡大させた責任は重大だと述べ、「憲章で食の安全は守られるのか、深く検証されなければならない」と警鐘を鳴らしました。
 ネットワーク代表で元消費者庁食品表示一元化検討会委員の中村幹雄さんは、食の安全に関わる個別・具体的なテーマを掘り下げ、これまで医学界での論文のねつ造、種子の国外流出、食品表示、添加物の指定、機能性表示食品の届け出などの問題点を指摘しました。

食の安全と利益 企業は両立せよ

 企業には食の安全と利益の両立が求められ、とくに経営者は意思決定の環境づくりに責任を負うとともに、技術面とビジネス面で意思決定をする人たちとを別組織にすることを提案。「企業が社会的責任を果たすことを強く求める」と訴えました。