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「海洋放出2051年に終了」は根拠なし! 原発なくす会 ふくしま復興共同センター(2025年03月03日 第1640号)

イレブン行動、署名提出 政府・東電に要請

福島県民「無責任すぎる」

有楽町駅前でのイレブン行動でも福島の現状と原発推進反対を訴えました

 原発をなくす全国連絡会と「ふくしま復興共同センター」は2月12日、原発推進政策の撤回と福島第一原発アルプス処理水海洋放出中止を求める運動を東京都内で行いました。福島県から17人が参加し、JR有楽町駅前でのイレブン行動、国会議員会館での署名提出、政府と東京電力への要請に取り組みました。
 「アルプス処理水の海洋放出中止と新たな汚染水の発生を抑える抜本的対策を求める」署名、2万3539人分(累計6万1051人分)を政府に提出。ふくしま復興共同センターの野木茂雄代表委員は、「第7次エネルギー基本計画で示された『原発の最大限活用』は今なお続く福島県民の避難、苦しみをないがしろにするもので絶対に受け入れられない。処理水の海洋放出は問題なく進んでいるように報道されているが、配管の腐食など大きなリスクを抱えている。県民の14年間の努力を一瞬で台無しにするような事態を避けるためにも直ちに中止を」と訴えました。

政府と東電のゴマカシと矛盾

「想定外の事態を招いてからでは遅い。海洋放出は中止を」と指摘する野木さん(こちら向き一番手前)

 参加者から、政府と東電が言う「2051年までに海洋放出を終える」という方針の根拠となる資料への質問が相次ぎました。東電作成の資料では、日々新たに発生する「汚染水」を「アルプス処理水発生量」という項目で示しており、そこには「28~51年度で1日あたり70トン発生」と書いています。これについて、「51年まで毎日70トン発生し、51年以降に急にゼロになるのか!?」、「汚染水の発生を抑えるための抜本的対策をしないとこの問題は解決しないとずっと言ってきたじゃないか!」と参加者は追及。これに対し、「あくまでもこれはシミュレーション」(経産省)、「いつ、どのくらいまでに汚染水の発生を抑えられるのかはまだ分からない」(東電)などと回答し、まったく根拠を示すことができませんでした。
 原発問題住民運動全国連絡センターの伊東達也代表委員(福島県いわき市在住)は、「これは『51年までに廃炉を完了する』という幻想に合わせているだけだ。だからこんな矛盾が生じている」と厳しく指摘。野木さんも「こんな無責任なことを言われて、漁業者や県民の思いはどうなるのか。見通しが立たないならば、なおさら海洋放出は止めるべきだ」と強く訴えました。

「ぜひ浜通りを訪れてほしい」

 いわき市在住の丹治杉江さん(楢葉町「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」事務局長)は、「地域には未来を担う若者や子どもたちはほとんど戻っていない。実態の1つ1つを福島から伝えていく。ぜひ浜通りを訪れてほしい」と述べました。また、相馬市在住で原発20キロメートル圏内のガイドをしている渡辺勝義さんは農業について、「地元の飯館村では国の基盤整備事業などで、汚染土壌が運び出された。しかし土地はできても、それを耕す人がいない。法人組合や高齢農家の規模拡大で何とかやっている状態だ」と切実な現状が語られました。