京のプレミアム米コンテスト(京都府主催) 京都産直センター「郷のこめ研究会」 コシヒカリが最高金賞受賞(2025年03月03日 第1640号)
産直運動ともに進める新婦人京都も受賞祝福

受賞した産直米
京都府内で生産されるおいしいお米を発掘し、そのPRを行うとともに、京都府産米の生産技術向上につなげ、その価値を高めることを目的として開催されている「京のプレミアム米コンテスト」(京都府主催)で、農民連京都産直センターの生産者団体「郷(ごう)のこめ研究会」(京丹後市)のコシヒカリが2024年度の最高金賞を受賞しました。
同コンテストは、京都府内の141の生産者から応募のあった153点のうち、厳しい審査を経て特に優れた8点を「京のプレミアム米」として選抜し、最高金賞1点・金賞3点・入賞4点を選ぶもの。分析機器(穀粒判別器)による測定で選ぶ予備審査、1次審査(食味測定器)、2次審査(味度計による測定)、3次審査(公募による府民委員の食味審査)を経て、最終的に残った上位8点のお米を、食味と京都の食文化や料理の専門家で構成する委員7人が食べ比べ、評価が高いものから各賞を決定しました。
「郷のこめ研究会」のメンバーは、京都農民連の会員で、京丹後市網野町郷地区の米農家らで構成され、新日本婦人の会京都府本部(新婦人京都)との産直運動に米を提供している生産者です。「おいしい米づくり」にこだわって、他県の生産者と交流もしながら、栽培の工夫、技術向上の努力を続けています。

花と寄せ書きを手にオンラインで引野さんに喜びの声を伝える山下さん(右)ら新婦人のメンバーと八田さん(左)=週刊「京都民報」提供
新婦人京都も寄せ書きを贈るなど、お祝いのメッセージを伝え、受賞を喜び合いました。昨年からの“令和の米騒動”のなかで、スーパーでの米の品薄や価格高騰など、米をめぐる厳しい状況が続いています。そのなかで、新婦人と農民連の産直運動が注目され、「お米がなくて困っている」との問い合わせや要望に応えて、産直への参加を呼びかけ、夏から秋までに30人を超える人が新婦人に入会しました。
日本のお米を食べられる安心感のある産直運動の魅力が再確認されるなか、食の安全・安心を守り、食料自給率向上へとつなげていく産直運動を広げていこうと誓い合っています。
受賞を喜ぶ関係者のコメント
「令和の米騒動」の今こそ消費者の思いに応えたい
京都産直センター代表 八田聡さん
気候変動の中で特別栽培米(府の慣行レベルに比べて節減対象農薬の使用回数が5割以下、化学肥料の窒素成分量が5割以下で栽培される米)に取り組み続けている多くの組合員さんが元気づけられる受賞になったと思います。品質だけでなく、食味にもこだわり実践されている組合員さんがいることは産直センターとしても非常にうれしい気持ちです。
組合員の皆さんが安心でおいしい米を作りたいと思う原動力は、京都では今年35年目を迎える新婦人との産直運動だと感じています。生産者米価が低迷し続けた30年以上の間、農民運動・産直運動を支え続けてくれた人たちがいることを改めて実感しています。
「令和の米騒動」といわれる今こそ農民連の力が発揮できる機会だと思います。日本の農業と食料を守り、消費者の皆さんの思いに応えるため力を合わせていきます。
食の安全を守り、自給率向上へ産直運動さらに
新日本婦人の会京都府本部産直部長 山下由香子さん
年々気候危機が深刻化し、特別栽培基準で農作物を作り続けることが困難とされる中、コンテストでの最高金賞をはじめ、複数の生産者さんが受賞されたニュースは、産直運動をともに歩んできた新婦人にとっても誇らしくうれしいことでした。「特別栽培米の魅力と苦労を初めて知った」と会員からの感想が寄せられています。
「令和の米騒動」渦中においても「安定供給、安定価格」を互いの信頼の上で続けてきた産直運動の魅力が再確認され、例年にない入会者を迎えています。力を尽くしていただいた生産者の方々へは感謝の気持ちでいっぱいです。
今も価格高騰は続いています。食料支援プロジェクトには、支援を求めて列をなし、主催者側も米の確保に苦労を重ねられています。物価高も相まって消費者の生活は苦しめられています。やっと政府は備蓄米を放出しましたが、市場価格の責任は放棄。長年農家に減産を押し付け、生産者米価が低落し、新規就農支援も手を付けない農政の無策は限界です。
今年は産直運動35年。生産者も消費者も安心して暮らせる農政、食の安全保障の実現、食料自給率を政府の責任で目標を明記し実行させていく、共同の産直運動をますます広げ発展させていきたいです。
「おいしいお米をありがとう」が励みに
研究会メンバーで産直センター米部会長 引野禎人さん(57)

農作業中の引野さん
10ヘクタールで特別栽培米を作付けしています。近年は暑さとのたたかいで、私も昨年は2回ほど熱中症にかかりました。カメムシやバッタなどの病害虫、シカやイノシシによる獣害にも苦しめられ、毎日の見回りも欠かせませんでした。それだけに受賞はたいへんうれしいです。
特に新婦人さんとの産直運動では、年2回の田植え、稲刈りの交流会で、消費者のみなさんと交流し、米づくりのことを話して、みなさんの声を聞くことで「明日からがんばろう」という力にしてきました。再開が待ち遠しいです。「おいしい米をありがとう」の声が何よりの励みになります。寄せ書きも感謝の気持ちでいっぱいです。
受賞を機に、「引野さんのグループの米を食べてみたい」などの反響が多くの方から寄せられています。
これからも安全でおいしい米を作り、みなさんにお届けしたいと考えています。