アイコン 新聞「農民」

有機・自然栽培の米づくりを考える 農家と消費者の学習・交流会に40人参加 =大阪・阪南支部協議会=(2025年03月10日 第1641号)

報告する高橋さん(こちら向き左)と前田さん(その右)

 大阪農民連・阪南支部協議会(奥野洋司会長)は2月16日、泉佐野市内で「学校給食に地元の農産物を」をテーマに「有機・自然栽培の米づくりを考える」学習交流会を開催しました。当日は、有機・自然栽培に関心のある農家・新規就農者、消費者など約40人が参加し、熱く学び交流しました。
 講師は、就農17年目で有機・自然栽培の専業農家、高橋範行さん(42)。和歌山県紀の川市の農地2ヘクタール(6千坪)で米、玉ネギ、トマト、ブロッコリー、キュウリなどを生産しています。
 2人目は、16年前にコンビニ店長から農業に転職し、岸和田、貝塚両市で1ヘクタールの農地と山林で自然栽培の米、野菜、みかんなどを生産し、加工・販売している小太朗農園の代表、前田博史さん(51)です。

有機・自然栽培消費者との交流

 高橋さんは、農民連の全国の若い仲間や、アジアの青年との交流が「本気で農業に取り組む」原点。昨年から紀の川市が「オーガニック給食を始めたことが『有機栽培』に挑戦する農家を広げる力になっている」と新聞「農民」の記事も活用しながら、自然栽培の米づくりを紹介しました。
 (1)代かきは1回のみ、(2)育苗箱で30~40日育てて定植する、(3)除草作業はやらない、(4)初期の深水管理を徹底することで、「トロトロ層が水中を濁らせて草は生えないし、天敵も育って虫に負けない稲が育つ」という話に参加者もビックリ。
 前田さんは、苦手なSNSを学んで活用し、自然栽培の魅力や苦労をリアルに紹介し、市場価格に左右されない再生産価格でネット販売し販路を拡大していることを紹介しました。
 米は、手間(手植え、天日干し)をかけて栽培し、消費者に呼びかけて、田植え・収穫・食味会など交流会を開催しながら、「食と農の大切さを広げている」と熱く語っていました。

消費者に広がる食と農への関心

 参加者からは、「学校給食のパンは『国内産の小麦で』と要求してきた。昨年4月から実現した」(泉佐野市の新日本婦人の会)、「学校給食に有機・自然栽培の農産物を使ってほしい」(保護者)、「有機野菜、特に米づくりに興味を持って参加した」(新規就農者の親)、「農業者が、胸を張って生きていける国に」(農家)などの感想・意見が寄せられました。
 最後に、都市農業研究者の橋本卓爾さんが「食と農をめぐる現状は厳しいが、関心をもつ方が確実に広がっている。いろんな形態で農業に関わる人を増やすことが必要」と参加者を激励しました。(大阪・阪南支部協議会 下村晴道