福島原発事故から14年 事故と向き合い原発推進撤回へ大きな運動を(2025年03月17日 第1642号)
原発なくす会 新署名を提起

アルプス処理水の海洋放出中止を求める集会(2023年8月27日、福島県いわき市小名浜)
2025年3月11日、東京電力・福島第一原発事故から14年目を迎えました。政府は「第7次エネルギー基本計画」(「基本計画」)を2月18日に閣議決定。その中で「原発の最大限活用」を明記し、40年度の電源構成に占める原発の割合を「2割程度」としました。これは30基以上の既存原発を再稼働させる想定に基づくものです。経済産業省は「50年にカーボンニュートラルを達成するための野心的な目標を掲げた」と誇りますが、その実態は紛れもない「原発推進への回帰」です。「原発をなくす全国連絡会」はこのたび、新たな請願署名に取り組みながら政府の原発推進政策の撤回を国民世論にしていこうと提起しました。
新署名の提起と福島からの談話を紹介します。
私たちはどういう未来を選択するのか

木下興さん
(原発をなくす全国連絡会、全日本民主医療機関連合会事務局次長)
福島県内では「帰還困難区域」がいまだに7市町村に残り、県の発表では2万5000人の県民が避難生活を続けています。ふるさとに戻った方たちも仕事や買い物、病院など様々な面で苦労が続いています。農林水産業や観光業などの生業(なりわい)の再建でも懸命な努力がされていますが、事故前の水準には戻っていません。

署名用紙のデータは「原発をなくす全国連絡会」ホームページから入手できます
原発事故の被害がいまだ続いている中で、なぜ政府は「原発の最大限活用」などと言えるのか。私たち全国連絡会は、福島の現状に目を背け、原発事故などなかったかのように「原発推進」に舵(かじ)をきった政府の姿勢を問う大きな運動が必要だと議論しました。その運動の柱として「原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める」請願署名に取り組むことを決めました。来年1月までに50万人分を集める目標です。
原発事故後の現状から、私たちはどういう未来を選択するのか。ぜひ皆さんのご協力をお願いします。
県民の実態無視した「基本計画」は撤回を

野木茂雄さん
(ふくしま復興共同センター代表委員)
事故を起こした福島第一原発では、溶け落ちた燃料デブリの試験的取り出し作業が始まりましたが、廃炉の見通しは依然立っていません。「基本計画」の内容は原発の現状、原発事故の被害に今も苦しむ県民の実態を無視しています。私たちは「基本計画」の閣議決定に断固抗議し、撤回を求めます。
原発の「最大限活用」は日本のどこかで、また再び原発事故が起こる可能性を大きくします。地震や津波の多い日本で原発の運転を続けることはたいへん危険であり、無謀です。政府は原発ゼロを直ちに決断するべきです。そのための運動を、この署名を通じて大きく広げていき、全国の皆さんと連帯して原発ゼロへのたたかいと福島の復興を前に進めるために奮闘する決意です。
原発事故によって失われた農業がある

岩渕望さん
(福島県農民連事務局長)
福島第一原発事故によって避難した方々の中には農民が多くいます。地域の農業を守り、日本の食を支えてきた農民が、住み慣れた土地を離れなければならなかったのは原発事故があったから。事故によって失われた農業があったことを忘れてはいけないと思います。これから取り組まれる署名の3つの請願事項。これを国に決断さるため、未来に原発を残さないため、みなさんと一緒に署名を広げる活動を取り組んでいきたいです。