アイコン 新聞「農民」

高額療養費「引き上げ」凍結 世論と国会論戦が追い込む 凍結ではなく廃止を(2025年03月31日 第1644号)

「高額療養費引き上げは凍結でなく廃止を」と声を上げる市民=3月19日、国会議員会館前

 石破茂首相は3月7日、高額療養費制度で患者に大幅な負担増を強いる負担上限額の引き上げを断念しました。同日夜、患者団体と面会し政府方針を伝達しました。
 がんや難病の患者を中心とする広範な世論と野党の国会論戦が、政府を追い込みました。
 政府の当初案は、今年8月、2026年度、27年度の3段階で負担上限額を引き上げるものでした。
 患者らの凍結・撤回を求める声を受け、論戦が参院に移ってからは、夏の参院選を意識して与党内からも反対世論に言及する意見が出ていました。
 今回の政府方針は8月に予定していた負担上限引き上げを見送るというもので、事実上、引き上げを凍結した形になります。
 一方、石破首相は2月28日の衆院予算委員会で26年度以降の制度のあり方について今秋までに再検討すると表明しています。
 自民、公明、維新の3党合意で医療費4兆円削減が明記され、国民民主党の政策にも同制度見直しが盛り込まれています。
 国民を置き去りにした密室協議で医療費や社会保障の削減路線をやめさせるためには、夏の参議院選挙は極めて重要になります。