埼玉の食と農を考えるシンポジウム 米不足・高騰はなぜ起きたのか(2025年04月07日 第1645号)
農業振興、地産地消を進めよう

埼玉の食と農について語り合ったシンポジウム
さいたま市で「埼玉の食と農を考えるシンポジウム~今年も米不足が心配、米・野菜の高騰はなぜ起きたのか~(同実行委員会主催)が3月22日に開催され、満員の140人が参加しました。
横浜国立大の田代洋一名誉教授が、食料自給率の向上と米不足と水田政策、埼玉農業について基調講演しました。
田代さんは、政府は輸出とスマート農業で、「大規模な担い手に農地を集積し、少数精鋭でやればいい」として自給率向上に不可欠な農業者を確保する目標を持っていないことを批判。
また、農業労働が適切に評価されていない現状を具体的な数字で示し、「生産費を価格転嫁すべきだが、消費者は安い輸入品に流れ、自給率は低下する。現状で消費者との矛盾を解くためには、農産物価格の引き上げと直接所得補償が必要だ」と述べました。
野菜の高値や気候危機で、「自給率向上は国民共通の願い」となっているとし、農用業予算を確保して「食料自給率50%をめざそう」と呼びかけました。
地域の活動強め安全安心守ろう
シンポジウムは、埼玉食健連の柳重雄会長をコーディネーターとして4人が発言しました。
埼玉農民連の松本慎一副会長は、「いま、県の農業予算は半分に縮小している。農業振興のためには予算を倍に増やして、半数を占める小規模農家の支援が必要。農業こそ『国防』だと消費者にも訴えていきたい」と語りました。
「安全な地元農産物の活用と学校給食の無償化を考える埼玉連絡会」の北村純一事務局長は、「結成した2年前に、7割以上の自治体が何の補助もしていなかったが、現在は63自治体中、4自治体になった。2年間で、地域の運動も進み、学校給食を受益者だけの負担にしない新たな変化を作ることができた」と運動の広がりを報告しました。
「フードバンクよしみ・かわじま」の佐藤利昭代表は、「いま、物価高騰で子育て世帯・高齢世帯からのSOSが増加しているが、困っている人に物資を届けられない。米が全く集まらず、あと1カ月で米は底をつく。そもそも生活苦の方に月1回届けても対症療法にすぎず、公的な支援が必要」と切実な現状を報告しました。
農民連女性部役員の浅子紀子さんは、有機で米・野菜・果樹・養鶏を行い、残さや堆肥を循環している実践的な取り組みを報告。「日本は世界に逆行し、農薬の規制を緩和している。『安心・安全な農産物を、安心・安全な大地から』の思いでこれからもがんばりたい」と発言しました。