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岩手県農民連・県漁民組合 焼けた樹木を伐採、再造林が必要 大船渡山林火災の被害調査(2025年04月14日 第1646号)

焼けた山林

 岩手県農民連の岡田現三事務局長と佐藤照彦・岩手県漁民組合(県農民連加盟)相談役(山田町在住)は3月24日、2月26日に発生した大船渡市の山林火災について、被害状況の調査を行いました。
 漁民組合の役員をやっている大船渡市三陸町越喜来(おきらい)の瀧澤英喜さんを訪問し、全国連から寄せられた見舞金と、やまだ共生作業所で集めた見舞金、県農民連からの精米を渡しました。
 また、被災現場に近い大船渡市三陸町綾里(りょうり)白浜の澤幹夫さんの作業小屋を訪問し、状況を聞きました。
 県道9号の車内から視察した山林は、遠目には青々としていますが地面から数メートルが黒くなっている杉林が多く、樹皮が焼けたものは伐採や撤去と再造林が必要になっています。
 生活物資は避難所が開設されて以降に配布され、地元スーパーなどが自治体と連携しており、物資は基本的には充足しています。しかし今後の住宅再建・生業再開など個人負担による出費が莫大となり、生活がひっ迫することが見込まれます。
 今回も全国からさまざまなルートで見舞いや義援金などが自治体や漁協に寄せられていますが、米などの支援を息長く続けることが求められます。当面は漁民組合のつながりで、県農民連から佐藤相談役、瀧澤さん、現地で配布…という流れで支援を行います。県農民連は3月22日の執行委員会で、カンパ・米を中心とした支援を行うことを確認し、県内各農民組合に呼びかけていくことにしています。

避難船多く漁に出られず
    瀧澤 英喜さん

瀧澤さん(右)に支援物資を届ける佐藤さん

 カゴ漁とホタテ養殖をやっている。
 越喜来は火災の被害を直接は受けていない。しかし、火災の被害を受けた、対岸の小石浜から漁船が越喜来に避難してきた。すぐ横に避難した船があるのに、自分の船を出すわけにもいかない。そのこともあって、発災からしばらくは自分の仕事ができなかった。
 漁民組合に加わっている漁師は、家や施設の被害を受けた人はいない。ただ、やはりあちこちから支援物資をもらったりするので、それは被害を受けた人たちに届けるようにしている。

作業小屋被災で再建が不安
     澤 幹夫さん

 カゴ漁と刺し網漁、イサダ漁、ワカメ養殖をやってきた。今はワカメの収穫作業をやっている。
 発災して間もなく、大船渡市立根町に避難した。2週間ほど、そこで過ごさざるをえなかった。この間、火災が漁港にも迫ってきて自分の船に煙がかかるようになった。そこで、なんとか船を避難させた。避難が解除されるまでの間、漁業の仕事をまったくできなかった。
 自分の作業小屋は東日本大震災で流されて再建したもの。今回の火事では自分は被害を受けなかったが、綾里では家もしくは作業小屋が火災にあった人が少なくとも8軒はある。小屋の再建となると、かなりの負担だ。再開を断念する人も出かねない。漁業の技術の継承や、漁業の存続、さらに地域そのものの今後にも関わってくる。