アイコン 新聞「農民」

旬の味(2025年04月21日 第1647号)

 「もうかる農業」という言葉に最近大きな違和感を覚えます。親元就農をして10年余。現実は非常に難しいと実感しています▼就農直後は今でいう酪農バブルで、子牛の値段も高く、これが維持されれば安定した収入にもつながりそうだと考えていた矢先、子牛の価格暴落からのバブル崩壊。わが家も含め全国の酪農家が窮地に立たされ今も続いています▼昨年からは米の価格が高騰し、米農家に一筋の光が見えたかに思えますが、農産物価格が市場にすべてゆだねられている状況では、農家が再び増える要因になるとは思えません▼自然に左右される農業でコストが回収できる担保がない生産物を作るということはあまりにリスクが大きく、やる人が増えないのは当然です▼まず農業はそもそももうかるものではないという見地に立ち、では国内の農業は何のためか。国民の命を守るものであるという基本原理から日本の農業を規模に関わらず本気で守る政策を行うことが日本の未来に最も必要なことではないでしょうか。(K)