ご協力に感謝します 農民連 食品分析センター 機能強化緊急募金 目標の3倍以上 3千万円に到達(2025年04月28日 第1648号)
今後の活動に期待を!
農民連食品分析センターは経年劣化で機能低下したガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)の更新のため、昨年11月から「機能強化のための緊急募金」を呼びかけてきました。
多くのみなさんのご協力で目標の1千万円を大幅に超える募金が集まりました。関係者のコメントを紹介します。

新しく導入したGC/MS(左の装置)と分析スタッフのみなさん
農民連食品分析センター 所長 八田 純人
昨年11月から始めた緊急募金ですが、正直なところ目標額に到達できず機器の購入ができない不安を抱えてのスタートでした。しかし、各地でさまざまな方が「分析センターがピンチだ」と、広げてくださいました。その結果、目標の1千万円を大幅に超える3千万円に到達することができました。本当にありがとうございました。
募金にはたくさんのメッセージも添えられており、どれもジンと胸を打たれるものばかりで、スタッフ一同、元気をいただきました。募金の取り組みで私たちがいただいたのはお金だけではなく、私たちの施設への信頼と期待であったのだと感じています。
日本唯一の募金で生まれた分析施設としての役割を果たすために、生産者と消費者の立場・目線でみなさんと一緒に農薬、遺伝子組み換え、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)などの調査に取り組んでいきます。私たちの活動の今後にご期待ください。
PFAS検査にご協力を!

新しい装置を動かす坂本さん
農民連食品分析センター GC/MS担当 坂本 一石
みなさんのおかげで新しいGC/MSを導入できました。ようやく以前の検査能力を取り戻し、さらなる向上をめざして、測定環境の構築を進めている最中です。農薬の一斉分析は暫定的に252成分で検査受け入れを再開しました。
目標額を大幅に超えるカンパのおかげで、より高感度な検査を可能にする大容量注入装置の導入もできました。この装置が稼働すれば以前の272種類を上回る種類の農薬検査が可能になる見込みです。
PFASの検査でも、GC/MSの活躍が期待されます。容器・包装などに使用されているとされる一部のPFASは、LC/MS/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)よりもGC/MSでの検査に向いているものもありますので、新しいGC/MSを活用して、実態調査を深めていきたいと考えています。
また、出回り始めた輸入米や、以前の調査でも農薬が検出された輸入有機農産物加工品などの市場調査でも活躍する予定です。
LC/MSとGC/MSの両輪が稼働することで、分析センターのフルパワーがようやく発揮できるようになりました。
これからも日本の食と農を守る検査にまい進しますので大いに活用をお願いします。
◇
農民連食品分析センターではPFASの検査運動を呼びかけています。募金で機能が強化された分析センターを生かして、日本のPFAS汚染の実態を明らかにするために調査を進めます。現在受け入れ可能な試料は水、土、汚泥肥料、農産物です。多くの方の参加を呼びかけます。
試料の採取方法や料金など、詳しくは農民連食品分析センター、TEL03(5926)5131までご相談ください。
いつも私達の運動の身近に
(一社)グリーンコープ共同体 代表理事 日高 容子さん
私たちは、九州・中国地方・兵庫県・大阪府・滋賀県・福島県に住む43万人の組合員が集っています。家族の健康と未来を守っていきたいと願う母親の思いから出発し、平和な社会と安心・安全な環境をつくるために、「いのち・自然・くらし」を何よりも大切に考え、自然環境を守る運動を続けてきました。
そのような中で、遺伝子組み換え(GM)技術に反対し、GMナタネの汚染調査活動は昨年20年を迎えました。GMナタネの2次検査や食品、人体の髪の毛等に残留するグリホサートの検査を農民連に実施していただきました。
このように、私たちの運動を継続して進めていくためには、農民連食品分析センターでの検査結果から導かれる科学的根拠がとても重要です。
ところが、そのための大切な検査機器が故障し、資金面でも大変苦労されているということをお聞きしました。グリーンコープの全組合員にこのことを伝え、カンパの呼びかけを行ったところ、合わせて608万4200円のカンパを寄せていただきました。
私たちの日頃の運動から農民連の検査、分析等がとても身近に感じられたために、組合員ひとり一人ができることとして、気持ちを寄せていただけたのだと考えます。
寄せられたカンパを私たちのくらしを守るために、検査、分析等をどうぞよろしくお願いいたします。
科学的分析はよりどころ
新日本婦人の会 中央常任委員 浅井 まりさん
農民連食品分析センターの緊急募金が目標額を超えて集まり、分析機器の更新ができると聞き大変喜んでいます。
私たち消費者が安全で安心な食料を求め、運動を進める上で、センターの科学的な分析は大きなよりどころです。
「センターのおかげで安心して食べることができます」「支部が呼びかけると12班がそれぞれ話し合い、ぜひ寄付を送ろうと応援しています」など、多くの支部や班が感謝や期待の言葉とともに訴えに応じたことは、何よりそのことを示していると思います。
この間も輸入小麦使用の学校給食パンから残留農薬が検出され、国産小麦に転換させるきっかけとなりました。河川のPFAS調査では、行政にさらなる調査を要請するなど、命や暮らしを守る大きな力となっています。
これからも輸入食品や遺伝子組み換え作物の監視、農薬やPFAS調査など、私たちの食と農を守る砦(とりで)となってください。