アイコン 新聞「農民」

制度崩壊、増産なしの備蓄米追加放出

石破政権がめざすのは… アメリカ米の輸入拡大?

 昨年から続く米不足と消費者が悲鳴をあげる価格高騰は改善の見通しがありません。「大凶作や災害時のみ」としていた備蓄米放出を3月~4月に2回、21万トン放出したものの、効果はほとんどなく、さらに石破首相の指示との触れ込みで、10万トンの入札を実施し、来月以降も端境期(8月)まで毎月、入札を行うことも発表しました。
 「米は不足していない」「備蓄米放出は行わない」と頑なに拒否し続けてきた政府が、現在は、備蓄制度が崩壊しかねない勢いで備蓄米放出を続けています。
 マスコミは、備蓄米放出が価格低下に効果があるかのように描きつつ、外国産米の販売を消費者が期待しているかのような報道をしています。米不足と価格高騰の継続は、主食の米の自給率を激しく低下させる可能性があります。

新米まで続ける備蓄米放出

 全国のスーパーでの米の平均価格は、3月24日からの1週間で、5キログラム(税込み)で4206円と、去年の同時期の倍以上となる高値が続いており、銘柄米などは5千円にまで高騰しています。
 お米屋さんの仕入れの実態はさらに深刻です。卸業者からの玄米供給は事実上ストップの状態で、数量制限付きでの精米製品の仕入れや市場から1俵(60キロ)4~5万円の玄米を仕入れなければならないなど、6月にも在庫がなくなりかねない状況です。営業を続けるためには、来月からの備蓄米(古古米)放出にわずかな期待を持たざるをえない事態です。
 23年産から続く米不足は政府が「運営ルール」を破って備蓄米を放出しているにも関わらず沈静化の見通しはありません。
 政府は5月以降にも放出を毎月継続するとして、「やっている感」をアピールしています。しかし、不足の穴埋めが一定できたとしても、25年産米の作柄いかんでは、米のひっ迫状況が強まり、SBS(輸入米の主食用分)の増枠と外米輸入の拡大・定着につながりかねない危険な状況です。