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原発推進政策への回帰は撤回せよ 福島県農民連 政府・東電に要請行動

現場の被害実態を見て判断を

 福島県農民連は4月22日、「国と東電による原発再稼働、新増設、最大限利用を許さない」要請行動を東京・国会議員会館で行いました。
 福島県内の各地から60人が参加し、衆・参の経済産業委員や福島県選出議員の議員室を訪問。「第7次エネルギー基本計画の閣議決定の撤回」を求める要請を行い、会館講堂で政府と東京電力に対して、原発事故被害に関する申し入れを実施しました。

再エネ導入こそ予算つけるべき

 政府・東電への申し入れで福島県連は、「事故を起こし16万人以上が避難をして、25兆円もの経済的損失を出した原発を、エネルギー政策の1つとして語ってはいけない」と抗議。政府には「原発の最大限活用」方針の撤回を、東電には「原発再稼働方針をあらためた上で、再生可能エネルギー分野での経営再建」を要請しました。
 経済産業省は、「原発事故の教訓をひとときも忘れることなく」と言いつつ、「電力の安定供給、経済成長、脱炭素のいずれの観点からも再エネと原発を最大限活用しないといけない」と回答。
 福島県連は、「例えば日本の農地の10%でソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を実施すれば、国内電力消費量の約20%をまかなえる。住宅の屋根への太陽光設置を国として手厚く支援すれば、再エネ導入はどんどん進み、温暖化防止対策にもなる。国としてそういう事業に予算をつけるべきだ」と提案しました。
 「日本の再エネ導入の潜在能力は?」と問われた環境省は、「2022年発表のデータで、太陽光・陸上風力・洋上風力を合わせて、約2兆キロワット」と回答。国内の年間電力需要の2倍にあたることを示しました。

政府「除染した地域は安全」

 農地の汚染と健康調査について、福島県連は、「県内の農地表面汚染について1筆ごとに測定すること」をこれまでも国に繰り返し求めてきました。しかし農水省は「すでに除染されている地域については安全」という前提でこの日も回答。農民から「基準値である、1平方メートルあたり4万ベクレルを超える表面汚染濃度の農地で作業をしても問題ないというのか」という問いに厚労省は、「必要であれば除染していただくのだが、国としては表面汚染密度については省令の対象外」と突き放しました。
 福島県連は毎年、県内2600カ所の農地を測定し、今でも基準値を大きく超える田畑があることを示しています。特に、土壌をあまり耕さない果樹園では、福島市内の複数の園地で1平方メートルあたり38万ベクレルを超えるなどの数値が検出されています。
 根本敬県連会長は、「私自身、春先の農作業の際には、孫たちに農地に遊びに来ないように言っている。この時期の土ぼこりは特に線量が高いことを知っているからだ。国は、国民の健康を守る意思と決意がないのか」と厚労省に迫りました。
 佐々木健洋県連副会長も、「先日の国会答弁で江藤農相は『福島に寄りそう』と言った。そうであるなら、困っている福島県民の話をちゃんと聞いて対応するべきだ」と省庁の姿勢を質しました。
 福島県連からの「まずは現地に来て実際の数値を見てほしい」という要請に対し、農水省は「検討して回答する」と答えました。