官邸前緊急集会 東京大学大学院 特任教授 鈴木宣弘さん ビデオメッセージ(要旨) 輸入米依存は地獄の始まり 自給率アップをみんなの力で(2025年06月02日 第1652号)

官邸前緊急行動(5月16日)で力強くこぶしを上げる参加者ら
5月16日に官邸前で行われた緊急集会での東京大学大学院・鈴木宣弘特任教授のビデオメッセージ(要旨)を紹介します。
米を巡る状況は深刻です。いまだに政府は「米は足りている」と言い続け、輸出は8倍に伸ばすために輸出向けに60キロ5000円の補助金を出すといいます。
一方で、すでに輸入米がどんどん入っており、さらにトランプ関税で脅されて「米も差し出しますから許してほしい」と盗人に追い銭外交をやって、絶対に譲ってはいけない米さえも差し出すから許してくれとなったら、もう日本は何も残らなくなります。
米農家の激減は国民の命の危機
輸入米で米の値段も下がるかもしれませんが、それは地獄の始まりです。まだ赤字だけれど一息つけるかと言っていた稲作農家が「もうやってられない」とやめる人が増えて、唯一自給率を100%近くに保っていた米さえも、輸入に頼る状況を作り出してしまったら私たちはいざ輸入が止まったらもう米さえも食べられない。まさに国民の命の危機、食料安全保障の崩壊です。
しかも生産者には「作るな」「田んぼは潰せ」と言ってここまで追い込んでしまっています。
これがいかに日本社会を崩壊させるかということが問われています。このことを早く認識して、輸出向けに60キロ5000円の補助金を出すなら、それを「国内の主食米を増産するためにしっかり補てんするからみんながんばってください」と早く言うべきです。
消費者の皆さんも、「安くていいじゃないか」と輸入米に飛びついてしまったらそれは自分たちの首を絞める。これ以上稲作農家が激減したらいざという時に自分の子どもたちの食べるものがなくなるわけです。
「飢えるか、植えるか運動」提唱
私は「飢えるか、植えるか運動」を提唱しています。飢えないようにみんなで植えることで、地域のみんなで作ってみんなで食べるような仕組みづくり、地域のローカル自給圏、自分たちの地域の自給率をみんなの力で、生産者と消費者が一緒になって100%に上げていくうねりをみんなで作っていきましょう。