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新婦人 米不足・米価高騰  緊急オンラインアンケート 農家への所得補償を手頃に買える米価格(2025年06月09日 第1653号)

農政の大転換を求める声も

 新日本婦人の会は4月25日~30日、米不足・米価高騰について消費者の意識・動向をつかむ目的で、緊急オンラインアンケートを行いました。新婦人による分析結果を紹介します。


 物価高騰による実質賃金の低下、年金の目減りのもとで、スーパーの5キログラムの米価格が4233円(4月21日~27日)と前年同期比の2倍というなか、短期間に47都道府県4422人から回答が寄せられ、そのうち子育て中などの50代以下の回答者が1037人、70代以上単身者も473人いました。以下、(1)全回答者、(2)50代以下、(3)70代以上単身者をそれぞれ分析しました。

全体からみえたこと

 6日間の緊急アンケートにもかかわらず、全都道府県4422人から回答があり、主食である米問題について切羽詰まった関心が示されました。
 どの年代にとっても、暮らしが圧迫され、何らかの工夫をせざるをえないこと、農政の大転換を求めていることが、アンケート結果から浮き彫りになっています。

購入量や回数を減らした

 50代以下で「お店での購入量や回数を減らした」世帯が2割にのぼっていることが注目されます。18歳以下の子どもがいる世帯ではお米が足りない分をどうしているかをみると(複数回答)、「パンや麺で」が8割近く、「ごはんの量を減らす」「調理方法で少ない分をカバー」をあわせて4割ほど。食べ盛りの子どもが我慢している姿が目に浮かびます。また、70代以上の単身者では「パックご飯、モチで」が2割を超えています。

被服費など削る、削るものがない

 お米が高くなった分、何か削ったりしているかをたずねると、全回答者では、「被服費、旅行・交際費を削っている」が5割近く、70代以上単身者ではそれぞれ5割を大きく超えています。また、全体でも、「削れるものがないので出費が増えている」は4割ですが、子育て世帯で最も多い回答がこの項目で半数近く、家計の厳しさがみえてきます。

5キログラム2000円台が望ましい

 「消費者にとって国産米5キログラムでいくら位が望ましいか」では、暮らしが苦しい中、また主食の米であるだけに、「高騰前の2000円台」を6割の人があげました。

「国産米を」99%、「アメリカ産米いらない」9割超え

 「国産米を食べたい」がほとんどの回答といえる99%。その裏返しとして、アメリカ産米輸入を増やさなくていいが9割超えも納得できます。国産米を食べたい理由では共通して、「安全・安心だから」「おいしいから」「農家・農業を守りたいから」などが共通です。アメリカ産米を増やさなくていい理由も、「農家を守りたい」「自給率の大事さや主食だから」「農薬の心配」などがあがっています。

消費者が選ぶ農業への支援策

 創立以来63年、新日本婦人の会は、食の安全と農業の発展を重要な要求としてとりくんできました。それだけに、このアンケートでも農家・農業支援の中身の選択を示し、また自由に意見を書いてもらう設問も入れました。
 主食である米の不足、米価格の2倍化という異常事態への消費者の怒り、消費者には手頃に購入できる米価格を、資材費も賄えず生活が成り立たない生産者へのいたわりと農家への所得補償などを願う声があふれていました。

農政への怒り、農政転換求める

 米不足・米価高騰、日本の食と農業への意見を自由記述で聞きました。
 「食べることは生きること、生きる楽しみ。米が高く家計が苦しい消費者、頑張っても生活が保障されず、後継者がなく持続不可能な農業とみんな苦しい。それを救うのが政治の役割」(20代)、「すべて民間市場任せで米不足や価格高騰が起こった。輸出推進よりまず国内優先に」(60代)と怒りがあふれています。
 あわせて「小規模農業を大切にし、所得を補償することが持続可能な農業と多様性を守る」(50代)、「主食米は政府が農家から適正な価格で買い取り、国民に安価で供給する農業政策を」(70代)と求める声もつづられています。「消費者が農政に関心を持ち、政策を変えるために動く。農業を大事にする政権へ、有権者が尽力することが大事」(50代)など、選挙を意識した記述も多くみられました。