旬の味(2025年06月16日 第1654号)
この村、土地で家と畑を買って農業をしながら死ぬまで生きていくことを決めた。この場所で20年、農業を通して培かわれた方々とのご縁は私たちの決断を自然なものにした▼この村で生きていく姿を、村の先輩農家の方々から学んできたからだ。先輩農家の方々は80歳近くでも毎日田畑に来て、90歳近くなると頻度は減るけれど仕事をしている▼自転車で通っていた農家のおばあちゃんは、やがて乗れなくなり、杖をつくようになって、それでも畑に向かう。私たち夫婦を「頑張ってるなぁ」「良いもの作ってるなぁ」と笑顔でほめてくれる▼姿を見ないと思っていたら、あちらへ旅立たれていたこともあった。交わした会話や姿が風景と一緒に思い出として生き私を励ましてくれる▼先輩方がいるこの村で、私たちも歳をとって死んでいけたら何より幸せだと思えた。天の恵みとこの村の歴史を築いてきた先人に感謝しつつ、私たちも農業を通して家族で成長していこう。そして未来に笑顔でご縁をつないでいけたらと思う。(恵)