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全国食健連が運動交流会ひらく 成果だけでなく悩みや苦労も率直に話し合い(2025年06月23日 第1655号)

生産者と消費者の意見交換増やし、運動の広がりを

 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は6月7日、「食健連運動全国交流会」を開催しました。

備蓄米投げ売りでは解決しない

開会あいさつをする藤原さん(左端)

 開会あいさつで農民連の藤原麻子事務局長(全国食健連事務局次長)は「石破首相は小泉劇場で有権者を引き付けようとしているが、備蓄米の投げ売りでは解決しない。しかもトランプ関税への対策で農産物を差し出そうとしている。今こそ食健連の出番だ」と訴えました。
 全国食健連の土井直樹事務局長は報告で、食品・農産物の輸入拡大に対し、農民や消費者、労働者が団結してたたかってきた食健連運動の歴史を振り返り、「米不足や異常な備蓄米の放出など食と農の問題に注目が集まっている今、さまざまな団体が集結している食健連運動の重要性が増している。各団体の結集強化や共同の追求、運動の継承など取り組みを強め、さらに運動を発展させよう」と報告しました。

活性化に向けた取り組みを紹介

 各地の取り組み報告では、2人が報告しました。
 埼玉食健連の山崎秀弘さん(埼玉県労連幹事)は「各団体での担い手不足などから、食健連の役員だけが行動に参加する状況だった。これを打開するために迅速な情報共有で行動参加を広げられるよう、体制強化として連絡員を配置することにした」と活性化に向けた改善を紹介しました。
 そして昨年の「食料・農業・農村基本法」改悪に対し役員会で話し合い、「この事態に何もしないのであれば、食健連の存在意義はない」と取り組みを強化。地域食健連の組織に向けては、「農業課題の学習会への参加や各団体による食と農の学習イベントへの講師対応などで幅広いつながりを作った」と紹介しました。
 さらに山崎さんは、連携の強化や役員の継承など課題を挙げたうえで、「労働組合が積極的にかかわれば幅のある運動になる。生産者と消費者が共同に取り組める食健連は市民要求の運動体として大きく発展できる可能性を持っている。機を逸せず食健連をアピールし運動を発展させよう」と呼びかけました。

現地の消費者の声が生かされる

 いわて食・農ネット(岩手食・農・地域を守る県民運動ネットワーク)の岡田現三事務局長も報告しました。
 「岩手県食健連と岩手県商工団体連合会や県生協連を中心に米問題に取り組んでいた『いわて米ネット』が合流して組織された『いわて食・農ネット』は、メインとしてグリーンウエーブ行動の自治体・農協訪問に取り組んでおり、24年は33市町村中17市町村長と7つすべての農協組合長から賛同をもらった」と紹介。
 課題としては「広い県内で、運動をどう地域に広げていくか」と岡田さん。「キャラバン形式でやっても通し参加を確保するのが大変。でも最近は地域生協の役員が地域限定で参加してくれることが増え、消費者の声が懇談に生かされるようになった。花巻市では革新懇のメンバーから地域食健連を結成したいという声も出ている」と述べました。
 米問題で学習会も多く取り組んでいる過程で「生産者と消費者のどちらかが我慢する状況というのはおかしいと改めて感じた。生産者と消費者が『米の値段が高い』などそれぞれの思いを率直に話し合っていく取り組みが重要だと感じた」と話しました。
 討論では「自治体訪問の前に参加団体で学習して情勢を共有できるようにしている」「今の情勢は生産者と消費者が近づくいい機会。学習通じてつなげていきたい」など率直な意見を交換しました。
 まとめで土井事務局長は「ピンチをチャンスに変えて運動を広げていこう」と呼びかけました。