全国オーガニック給食協議会が25年度総会 子どもの健康を守り自給率を上げる力に(2025年06月23日 第1655号)
京都・亀岡市と韓国・ファソン市の実践学ぶ

実践報告を学んだ総会
全国オーガニック給食協議会は5月2日、都内で2025年度総会をオンラインも併用して行いました。
代表理事の太田洋・千葉県いすみ市長があいさつ。「食料自給率を上げ、子どもたちの健康を守るためにも私たちの行動が農政を変える原動力になります。みなさんと一歩一歩進んでいきます」と述べました。
環境先進都市で新規就農支援を

桂川・亀岡市長
報告では、有機農業を推進し、持続可能な食と農業の発展を目指す京都府亀岡市の桂川孝裕市長が講演しました。
プラスチックごみ削減など環境先進都市をめざし、芸術祭などとのコラボで地域活性化に取り組みながら、農業の担い手確保の課題を進め、有機農業を希望する就農希望者が増加している成果を語りました。
これまでも「オーガニックビレッジ宣言」(23年)を行い、保育所や小学校などで地産地消給食を実践し、オーガニック農業スクールや有機農業団地(学校)を開催していることを紹介しました。
今後は、「食育の推進、農産物の販路拡大、生産体制の強化に取り組み、有機給食の拡大を図っていきたい」と述べました。
市民の積極参加地域づくり実践

谷口名誉教授
講演では、「韓国の親環境無償給食を大発展させた3つの理念(公共性、市民の政治参加、食の市民自治)」をテーマに谷口吉光さん(社会学者、市民運動家、秋田県立大学名誉教授)が報告しました。
韓国では、親環境(オーガニック)無償給食が全国規模で実施され、地域流通の仕組みが整備されるとともに、給食を通じた地域改善の取り組みや市民の積極的な参加が政策に反映されていることを強調しました。
谷口さんが調査に入った華城(ファソン)市では、年間で親環境農産物が安定的に供給されており、給食に使用される農産物の90%が地域産であること、フード統合支援センターが中心となり、地産地消を推進していることを紹介しました。
さらに、独自の集荷センターを設立し、市が大部分の費用を負担して農産物の集荷・分類・選別・発送を行い、給食への安定供給を実現しています。
「給食を通じて地域の多様な政策が推進されることが重要だ」と述べ、市民が政策決定に参加し、「フード市民」という考え方が重要視されていることを語りました。
新代表理事に栃木県小山市長
総会では、24年度事業報告、決算報告と25年度事業計画案、予算案が提案され、採択されました。
役員改選では、代表理事に浅野正富・栃木県小山市長(新)、副代表理事に秋山豊・茨城県常陸農業協同組合組合長(再)、下山久信・全国有機農業推進協議会理事長(再)、大信政一・パルシステム生活協同組合連合会理事長(再)、監事に太田洋・千葉県いすみ市長(新)、鈴木定幸・茨城県常陸大宮市長(再)、山田正彦・オーガニック給食マップ代表世話人(再)が選出されました。