アイコン 新聞「農民」

米屋の声聞かず対策遅れた備蓄米放出でも米屋を軽視(2025年06月23日 第1655号)

メッセージ 一般財団法人 日本米穀商連合会 専務理事 相川英一さん

 「米が買えない・販売できない・安心して作れない 政府は国民の主食・米に責任を持て6・11緊急行動」に対して文書にてごあいさつすることをお許しください。
 昨年のことではありますが、私ども日米連は4月1日に、「このままでは大変なことになる。今すぐ対応してほしい」と要望しました。

今も困っている米屋が多くいる

 農水省は「米は十分あるから大丈夫である」とこの要望を無視しました。ところが8月には量販店の店頭から米がなくなる令和の米騒動が起きました。農水省はさらに「新米が出てくれば大丈夫」と言っていましたが、結局1月にはスポット価格で60キロ4万円を超え、3月には5万円を超える異常事態になりました。
 現在でも米の仕入れができないで困っている米穀店が多くいます。昨年の8月までに対策を講じていればと思うと残念です。今後は、なぜこういう事態になったかを徹底究明する必要があります。
 今後の対策として、農業経営の大規模化等が言われていますが、大規模化も一部では限界にきています。むしろ中小・零細の生産者に対して持続可能性を見いだすことが重要と考えます。中小・零細の生産者に光を当て食べていけるようにすることが大切と考えます。
 備蓄米について申し上げます。1回から3回の入札米(いわゆる江藤米)は倉庫の問題や物流の問題からなかなか出回りません。これは食糧法になり過度の自由競争や効率化により今までのサプライチェーンが寸断されたからです。
 米穀店は生き延びるため卸売業者から生産者へシフトしました。農水省が備蓄米をいくら全農(全国農業協同組合連合会)に出しても、目詰まりするようなシステムになっているのです。このため米穀店には江藤米は全くと言っていいほど入ってきていません。

みんなが持続できる米の価格に

 その矢先に今度は随意契約米(いわゆる小泉米)が1万円という安値で、スピード感を出すため直接大手小売業に売り渡しました。消費者には今のところ喜ばれているようです。消費者のためにはやむをえなかったとも思いますが、流通現場では、2万円の江藤米が届いていない状況で混乱していると言っていいでしょう。同じ備蓄米にもかかわらず、倍の値段のものがあるのは異常としか思えません。
 米穀店からは「何十年も米の安定供給に寄与してきたのに最近参入してきたドラッグストアやホームセンターに4年産米を出して、われわれには3年産米を渡すのか」などの不満の声が届いております。3年産の小泉米については「品質的に大丈夫か、クレームが来るのではないか、店の信用がなくなる可能性がある」などの意見もあり、購入に悩んでいる人もいます。小泉米を利用する、利用しないで意見が分かれています。
 最後に、米の増産をし、国民に安心感を与え、中小・零細の生産者、米穀店を始め流通業者が持続できる価格にするため、農民連の皆様方とこれからも連帯することを誓いまして、ごあいさつに代えさせていただきます。