小泉農水大臣による異常な備蓄米放出で暴落を懸念 全国食健連が緊急の農水省要請(2025年06月23日 第1655号)
備蓄米の拡充など運用の見直しで価格安定を

国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は6月10日、米不足と急激な価格上昇について緊急の農水省要請を行いました。
食健連代表幹事の信川幸之助さん(全農協労連中央執行委員長)が「備蓄米放出による目先の対策ではなくこれから先を見据えた対策が必要。生産者も消費者も求めているのは、日本の食料が安定して自給できるような体制を作ることだ」と述べ、需給見通しの見直しと増産、備蓄の拡大による安定した供給体制の構築や所得補償・価格保障による生産現場への支援を求めました。
また新日本婦人の会からも「消費者が買える価格で安定供給を」など求める要請書があわせて提出されました。
農水省は生産量については「新たな基本計画で30年までに818万トンまで増産を進める目標で、輸出促進や区画整理による大規模化などを進める。今年の主食用米作付けは7・5万ヘクタール増の133・4万ヘクタールで、40万トン増の719万トンが取れる予定。過去5年間で最大の作付面積となっている。備蓄米も今後よく検討していく」と回答。
所得・価格対策については「特定の人たちにしわ寄せが行っては、米の安定供給が果たせない。再生産可能にするために、合理的な費用を考慮した価格形成のコスト指標を検討している。いただいた意見もすべてのテーブルに乗せて今後どうするか検討していく」と述べました。
問題意識共有を 予算確保が課題
食健連の土井直樹事務局長からは「昨年秋から、米不足を指摘し、備蓄米の放出を求めてきたが、農水省は『米は不足していない』と主張し、民間在庫の調査を約束した。調査の結果はどうだったのか」と質問。
農水省は「3月の調査では生産量は前年比18万トン増。さまざまな方が在庫を積み増ししている状況だ」と回答しました。
舘野豊事務局次長は「在庫はあるといいながら備蓄米を入札で31万トン放出し、さらに価格を下げるために随意契約で放出した。このままでは過剰になってしまうのではないか」と指摘。
農水省の担当者も過剰となる可能性は認めつつ「系統集荷の減少を穴埋めするために31万トンを供給し、価格の上昇を抑えるために随意契約で出した」と説明。「しっかり検証し、どういう形がふさわしいのか検討を進めたい」と述べました。
参加者は「生産者は時給10円の米作りを強いられてきた。備蓄米の大放出と買い戻しの先延ばしで、その状況に逆戻りするのではと心配している。備蓄米を増やして、価格の安定を図ってほしい。農水省はどう見通しを立てているのか」と問いただしました。
農水省は「われわれも生産者が時給10円はあんまりだと思い、対策を検討している。一方消費者が買えないのも問題であり、備蓄米で価格を抑えようとしている。もちろんこのまま供給過多で暴落しアメリカから輸入するようでは元も子もない。骨太の方針で別枠の予算を要求しており、担い手の確保や中山間地の地域政策を実施できるよう、従来以上の予算を要求している。今、農業に注目が集まっていることもあり消費者の理解も求めつつやっていきたい」と問題意識は共有しつつ、予算確保が最大の課題だと述べました。