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FFPJが第8回総会開く 多様で柔軟性ある家族農林漁業がやっぱり重要(2025年06月30日 第1656号)

気候危機の影響を各分野が報告

 国連「家族農業の10年」と連携し、持続可能な社会の実現を目指す「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(以下、FFPJ)」は5月31日、第8回総会をオンラインで開催しました。
 総会は2部構成で行われ、第1部シンポジウムでは、「気候危機 農林漁業の現場で起きていること」をテーマに林陽生さん(クライメイト・ウォッチ・スクエア理事長)が基調講演。(写真)
 林さんは、「地球温暖化による気温上昇とは何か。それは『気象観測によって得られた成分』から『都市化で生じた成分(温室効果ガスの上昇成分)』を差し引いたもの」だと解説。その上で今後、「すでに生じている農事暦などの季節感の喪失に加えて、北海道や東北地方で灌漑(かんがい)用水が枯渇する危険性や農林漁業の各分野で影響がより顕著になっていく」という報告がされました。
 基調講演と合わせて、稲作、果樹、畜産、林業、漁業にそれぞれ携わっている現場の声として5人が発言・報告をしました。第1部のシンポジウムはFFPJホームページから動画視聴できます。
 第2部総会では村上真平代表が、「現在の世界情勢を見ると、“自分さえ良ければいい”という経済や社会が残念ながら広がっている」と懸念を表明。「しかし、今日の各分野・各地からの報告にもあったように、気候変動への対応も含めて、環境の変化に多様なアプローチができる家族農林漁業の柔軟性がやはり重要だ、という確信を持っている」と述べました。
 池上甲一常務理事が新年度の活動方針を提案。FFPJ作成の国連「家族農業の10年」国内行動計画(案)の実現に向けた活動について、2026年に予定されている「森林・林業基本計画」改定に向けた提案の準備について、関連する啓発活動についてなどが全会一致で採択されました。
 代表は引き続き村上真平さんが務め、青木美紗さん(奈良女子大准教授)と杵塚歩さん(静岡県藤枝市で家族農園「ちぃっとらっつ農舎」を営む)が新たに常務理事に就任しました。事務局は引き続き農民連本部が務めます。