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最高裁ヒューマンチェーン行動 22年「6・17判決」をただす (2025年06月30日 第1656号)

司法は何を守ろうとしているのか

「司法の堕落・癒着許さない!」と声をあげる参加者

 「原発事故に国の責任はない」という歴史的不当判決をくだした2022年6月17日最高裁判決から3年を迎える6月16日、東京都千代田区の最高裁判所を「人の鎖」でつなぐ「ヒューマンチェーン共同行動」が行われました。
 昨年に続くこの取り組みは、全国の原発事故訴訟団や労働組合、市民団体など22団体で構成する実行委員会が主催。気温33度を超える猛暑のなか、昨年を上回る約1150人が集結しました。
 参加者は最高裁の敷地の外周約1キロメートルを取り囲み、手をつなぎ「司法の独立どこいった!」「最高裁は公正、中立!」「未来に誇れる判断を!」と声をあげました。
 22年の最高裁不当判決は、全国各地でたたかわれていた23の原発集団訴訟でいち早く最高裁の判決に至った4訴訟団にくだされました。
 判決では、争点となっていた「国は過酷事故を予見できていたのか」についての判断を避け、「仮に対策を施していたとしても事故を防げなかった可能性が高い」としました。しかし、この判示について多くの専門家が疑義を呈しています。弁護士の鈴木利廣さんはこの「6・17判決」について、「極めて戦略的、政治的な配慮によるもの」と厳しく指摘しています。
 この判決の2カ月後、当時の岸田政権は「原発再稼働を進め、老朽原発の運転期間延長など原発を最大限活用していく」と発表。同月にはこの不当判決をくだした裁判長が退官し、東京電力と顧問弁護士契約をしている大手法律事務所に“天下り”しました。後続の原発訴訟はその後、各地の裁判所でこの不当判決がことごとく踏襲され原告敗訴が続いています。
 「ヒューマンチェーン共同行動」では各団体の代表が最高裁に向けて、切実な怒りの声をあげ、「『6・17判決』の多数意見の再審理をせよ!」と迫りました。この日の行動には福島県農民連や、「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の原告の皆さんも参加。立憲民主党、れいわ新選組、日本共産党、社会民主党の国会議員が連帯のあいさつをしました。
 集会の最後に「司法は何を守ろうとしているのか。私たちは司法のあるべき姿を取り戻すまで、手をつないで闘い続ける」という決議を採択しました。