米不足の責任を統計に押し付け 統計部門の人減らし政策で生産者が疑問感じる作況に(2025年07月07日 第1657号)
作況指数公表廃止は何を意味するのか
6月15日に小泉農水大臣は、作況指数が現場の農家の実感とは異なり、見直しを進めていると発言。翌16日には、作況指数の公表を2025年産から廃止することを発表しました。
温暖化の影響による35度を超す高温が続くなど、収量・品質の低下は当たり前になり、気温、降雨量、日照時間など気象関連データ利用が間に合っていない可能性もあり、作物作況の出し方に検討が加えられることは当然ともいえます。
水稲の収穫量を把握するため、全国約8千カ所で行っている坪刈り調査は続けるとともに、これまで1・7ミリのふるい目上に残ったものを収穫量としてきたのを、今後は実態に合わせ、多くの農家が使う1・8~1・9ミリのふるい目による選別に変更するとしています。また、人工衛星画像や、収穫量モニター付きコンバインのデータ活用などを研究することとしています。
パックご飯業界まで在庫対象に
さらに、統計の見直しとは別に民間在庫の把握範囲を広げるとしています。これまで玄米在庫の把握のみであった報告の対象業種に、中食・外食業界、スーパーなどの小売業界、冷凍食品、パックご飯などの食品製造業界も対象とするとしています。今年の6月末在庫は、米穀販売事業者の届け出をしている約7万軒のお米屋さん等に対して、食糧法に基づく報告(罰則付き)を求めるため、各地の農政局で封書の発送作業も行われています。
統計は信用できないが、在庫はあると言いたいのでしょうか。
長年の自民党農政の下で、統計部門は国の機関としては最大の人減らし・合理化が続けられており、農水省の地方組織を廃止してきたツケが、生産者が疑問を感じる統計データとして表れていることが最大の問題です。
米不足には外米輸入、国家備蓄は廃止へ
米の需給と価格に決定的な影響を与える収穫量調査が、各地で自主的に使用しているふるい目以上で出されても、30万トンにも及ぶこともあるふるい下米が米でなくなるわけではありません。需給状況を適正に読むことができなくなる可能性もあります。町の米屋さんやスーパーの精米、冷凍米飯場まで在庫を把握して、民間在庫を膨らませて「米の在庫はある」と強弁するための目くらましのデータでしかなく、大臣自ら破壊している米の備蓄制度を廃止し、精米や加工米飯まで含めて、「在庫米」と称することが目的でしかありません。
国産米の増産をめざすことなく、需給調整は外米輸入と輸出で行うことをねらい、アメリカ言いなりに日本農業を破壊してきた農政を続けることが、小泉大臣の任務であることを忘れず、参議院選挙で自公・補完勢力を少数に追いやり、日本の農政を真っ当な方向に向けることが求められています。