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ビア・カンペシーナ 東南・東アジア地域 女性会議(2025年07月21日 第1659号)

農村でのジェンダー平等実現へ 新自由主義政治をとめよう!

26日には、イスラエルによるガザ地区への軍事攻撃が続くパレスチナに連帯して、アピール行動が行われました

グループディスカッションの内容を発表するオーストラリア、マレーシア、インドネシア、カンボジアの女性たち

 国際的農民組織「ビア・カンペシーナ」東南・東アジア地域の女性会議が6月24から27日の4日間、東京・国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、農民連を含めて9カ国9団体から27人が参加しました。
 この会議は1年に1回開催され、今回参加したのは、韓国、タイ、マレーシア、カンボジア、フィリピン、インドネシア、東ティモール、オーストラリアの農民団体の女性たちです。3日間にわたる会議で、各国の社会・農業情勢を学ぶとともに、農村女性が直面している課題や運動を交流し、今後1年間の行動計画を策定しました。
 会議では、農民連国際部の岡崎衆史部長が、「令和の米騒動」や米危機、トランプ関税など日本の農業情勢と農民のたたかいを、農民連女性部の満川暁代事務局長が、CEDAW(セドー・国連女性差別撤廃委員会)の日本報告審議に向けた女性部のとりくみと、農村女性のジェンダーアンケート調査の結果を報告しました。
 各国の女性たちからは、輸入自由化と新自由主義的な米政策(韓国)や、農地改革を求めるたたかい(インドネシア、フィリピン、東ティモールなど)が紹介されたほか、こうした新自由主義的な政治による中小・家族農業の破壊が、家父長制とも相まって女性への身体的・経済的暴力や長時間労働、健康悪化などのジェンダー差別へとつながっていることが、改めて確認されました。
 その一方で、女性たちが困難な中でも研修などを通じて学び、支え合い、アグロエコロジーや農産物の加工、在来種を守る運動などの担い手としてとりくんでいるとの元気な報告も相次ぎました。
 また気候変動が年々深刻化しており、農業生産に大打撃を与えているとの声も数多くあがりました。今年11月にブラジル・ベレンで開かれる国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に向けて、ビア・カンペシーナとしても真に温暖化を防止するものになるよう、運動を強めていくことが確認されました。
 来年に向けた行動計画では、言語の壁というアジア地域ならではの困難を乗り越え、私たちの運動をもっと連携強化させていくこと、若い世代の女性たちへの働きかけを強めることなどが盛り込まれ、大きな拍手で承認されました。
 会議の始まる前には、毎日「ミスティカ」という文化プログラムが行われ、農民連は初日に「お米ありがとう音頭」を披露。他の参加国が担当した2日目、3日目のミスティカでも「お米ありがとう音頭」を取り入れながら、女性たちが農作業や家事、そして農民運動で奮闘している様子が寸劇で再現され、笑顔いっぱいの会議となりました。

農村訪問

アグロエコロジー実践する 女性部副部長 浅子紀子さん(さいたま市)を訪問

「肥料の材料は?」「種子は?」「販売先は?」 炎天下でも質問止まらず

除草ロボットに見入る海外参加者ら

ナス畑を見学

ニンニクの花を手に説明する浅子紀子さん(左)

 6月27日には農村訪問として、農民連女性部副部長の浅子紀子さんと夫の幹夫さんが営む浅子ファーム(さいたま市)を訪問。無農薬・無化学肥料栽培の水田と多品目野菜(それぞれ2ヘクタール)、果樹20アール、250羽の平飼い養鶏を組み合わせた、アグロエコロジーのとりくみを視察しました。
 田んぼや畑を案内してもらいながら、無農薬・無化学肥料でのものづくりの工夫や、田植えや収穫体験、体験農場など消費者との交流、直売所での販売などについて、具体的に話を聞きました。
 猛暑日の炎天下でしたが、女性たちはきわめて熱心に「肥料の原料は?」「種子はどこから入手しているのか?」「自家採種している作物は?」「販売先は?」「販売価格は十分か?」など矢継ぎ早に質問を浴びせていました。
 ナスやキュウリ、サトイモなどは東南アジアでも多様な在来種が作られているとあって、「私たちの国では…」と、楽しい技術交流に花が咲いたほか、温暖化の影響など、国を超えて共通した農家ならではの苦労話も止まりませんでした。

参加者の感想

女性部役員 横山真由美さん(福島県農民連)

 アジア地域全体の問題点として、根強い家父長制により女性の地位が向上していないことが報告され、女性への暴力が3人に1人の割合で発生している地域もありました。それらを改善するために、各国で女性たちが奮闘している話が非常に興味をひきました。
 今回、2023年の国際総会でお会いした方に再会できたのは感激でした。「抵抗運動だけではなく、地域内での活動もがんばっている」ということを聞き、私も地域女性のためにもっとがんばろうと改めて思いました。

女性部副部長 久保田みき子さん(岩手県農民連)

 新自由主義と気候危機のなかで、どう仲間を増やしていくか、また女性の権利をどう確立していくのか、など会議の内容が盛りだくさんで、時間が足りませんでした。
 農民連女性部からのCEDAWに向けた取り組みや、CEDAWの総括所見に私たちのリポートが反映されたことが、女性たちからもとても注目されました。