無理やりMA米需要拡大めざす 国民の財産、備蓄米をたたき売りする悪徳大臣 浅はかすぎる「小泉備蓄米劇場」(2025年07月21日 第1659号)
参院選は自民党政治終わらせるチャンス

うず高く積み残された輸入米=都内の量販店
量販店やディスカウントストア、コンビニなど大手流通資本のバイイングパワーが、長年、低米価の市場を作ってきました。自民党政府が招いた2024年産米不足と価格高騰は、結果的に供給サイドの価格交渉力を高め、量販店なども提示された量と価格を受け入れざるをえませんでした。価格高騰によるマージンの増加は、特売等による安売り競争での売り上げを上回ったものの、大手が取引の主導権を取り戻すことが困難な状態になっていました。
そこに登場したのが、小泉農水大臣による随意契約備蓄米です。米穀卸・小売業者ではなく、量販店などの小売業者を備蓄米の販売対象とし、60キロ1万円の国産米を希望する精米工場にタダで運ばせる、至れり尽くせりの扱いです。
おまけに最優先に運送をかけ、短期間で店頭販売にこぎつけた販売店は、無料のテレビ宣伝の対象となり、庶民の味方のような扱いまで受けています。
小泉大臣の役割は、米価引き下げではなく、一部の量販店など大手小売りへの利益供与以外の何物でもありません。備蓄米という国民の財産をたたき売りし、市場を混乱させ、生産者には米価下落の恐怖を与え続ける悪徳代官さながらの役回りです。
しかも、5月末からの30万トンの随意契約備蓄米の出回りは、わずか2・9玄米トン。備蓄米に行列をつくる消費者と、ヒーロー気取りの小泉大臣と販売店の映像を垂れ流しつづけるマスコミも、米不足と価格高騰を招いた真の原因を見えなくし、国民の中に誤解と錯覚を広げています。
アメリカ米拡大めざし、不要な前倒し輸入
米不足・価格高騰のもと、昨年の主食用SBS輸入米も10万トン全量落札となり、1キロ当たり341円の関税を払って輸入しても、十分利益が出る状況から、春以降輸入が急増し、流通大手のイオンはアメリカ大使館でカルローズの通年販売(1・4万トン)を発表し、試食会イベントが大々的に行われました。
今年度の、SBS入札も4カ月前倒しで実施され3万トン全量が落札されたものの、マークアップ(買入価格と販売価格の差)は上限の292円に張り付いた昨年から、230円まで下落しました。また、必要のまったくない一般ミニマムアクセス(MA)米の入札もすでに13・9万トン実施されましたが、備蓄米が早期に出庫された倉庫へ穴埋めに回されることが目的と思われ、無駄な税金支出と言われても仕方ないところです。
しかし、国産米備蓄制度を破壊し、「減反廃止」の声を利用して水田活用交付金廃止までめざす財務省の全面バックアップを受けている小泉大臣には、「やってる感」さえ出せれば何でも構わないということなのでしょう。
外米需要は急速に縮小し相場も下落
皮肉なことに、5キロ2千円の小泉備蓄米やSBS前倒しなどのせいで、外米重要も急速に縮小し、カルローズなど外米のキャンセルも相次いでおり、相場も下落しています。
価格高騰の沈静化のために、外米輸入の拡大を当然とする小泉大臣ですが、安直な備蓄米ダンピングも手詰まり、外米販売もいまいちとなっては、彼の価値も、財界から?マークが付くかもしれません。
しかし、国産米の不足を外米が奪うことになれば、米価下落を引き起こすとともに、生産増への道を閉ざすことに直結します。
今年産米の作柄いかんでは、外米頼みになる事態も想定されるのが、現在の米不足の深刻さです。だからこそ、減産から増産への道筋を示す政策と予算、政治への転換は待ったなしなのです。
参議院選挙は自民党をさらに少数与党へと追いやり、小泉大臣の首もすげ替える絶好のチャンスです。自民党よりさらに軍事国家への道を進もうとする政党もあり、食料・農業政策はもとより、平和と国民生活への支援を基本に据えた政党が伸びなければなりません。