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トランプ大統領問答無用の最後通告 不当なトランプ関税の撤回を求める政府を(2025年07月21日 第1659号)

 「関税狂」トランプ米大統領の暴走がますます激しくなっています。
 トランプ大統領は7月7~9日に日本を含む23カ国に書簡を送りつけ、一方的に関税引き上げを通告しました。さらに大多数の貿易相手国に対し15~20%の関税を一律に課すと宣言しています。
 日本あての書簡では▼4月2日に発表した「相互関税」(世界一律10%+国別追加関税=日本は14%)のうち、7月9日まで猶予していた国別追加関税の期限を延長し、8月1日から引き上げる、▼各国は8月1日までにトランプ大統領が気に入る取引材料を提示しろというもの。なお、日本への国別関税は14%のはずでしたが、トランプ氏の気まぐれで15%に引き上げられ、世界一律10%と合わせて「わずか25%」と通告しました((1)トランプ関税とは?)。

問答無用の一方的な最後通告

 これには以下のようなポイントがあります。
 (1)すでに発動している品目別関税(自動車関税25%、鉄鋼・アルミ50%)と、世界一律10%は絶対に変えない、交渉の余地があるのは「15%」部分だけだという「最後通告」。
 (2)関税を免除してほしければ、日本企業がアメリカ国内で生産することを決断しろ。日本企業の対米進出に対しては数週間のうちに許認可を与えるから、8月1日までに決めろと強要。
 (3)日本が報復で関税引き上げを決定した場合、その引き上げ分は25%の関税に上乗せされる。
 (4)参院選が制約だという日本の事情を考慮し、直後の8月1日まで延期してやる。しかし、これ以上抵抗するな。

腰抜け 石破政権

 くるくる変わるトランプ氏は直前まで、日本に30~35%関税をちらつかせていました。
 これに対し、石破首相は「国益をかけたたたかい。なめられてたまるか!」と演説では威勢がいいものの、「30~35%ではなくてよかった」と胸をなでおろし、これまでの交渉で主張していたトランプ関税「撤廃」の旗をおろしています。
 こんな腰抜け政権に対し、自民党内からも「自民党はやっぱり頼りになると思う人はいないだろう」という声があがっています。一方、官邸幹部は「『引き続き今の政権で交渉を頑張ります』と訴えやすい。政権が代わってもいいとはなりにくいのではないか」と開き直る声も(「毎日」7月8日)。

行き詰まり トランプ政権

 全世界を相手に関税戦争をしかけ、「各国がアメリカを訪れ、“何でもします。閣下”と言っている」と豪語したトランプ大統領ですが、交渉がまとまったのはイギリスとベトナムだけ。
 「他の国とは交渉をまとめられるとは思えなかった。だから関税率を示した書簡を送っただけだ」。トランプ大統領は書簡を一方的に送りつける非礼な行為を正当化してみせました。要するに交渉は暗礁に乗り上げている――トランプ政権の行き詰まりは明白です。

アメリカの狙いは米

 毎日新聞(7月9日)は日米交渉の内幕をスクープした記事で、手詰まりになった石破政権が「『聖域』とされてきた米などの農産品の市場開放の検討を始めた」と報じました。
 「日本は米不足なのにアメリカ産の米の輸入を拡大しない」などと繰り返すトランプ大統領。同紙によると「日本政府関係者は『米国の狙いは米だ。トランプ氏はシンボリックなものを求めている』と明かす。交渉材料として『封印』してきたが、厳しい現状を前に、その議論(米国産米の輸入拡大案)が再燃する可能性がある」。

卑屈な「御用聞き外交」に終始してきた自公政権を少数に

 石破政権が「御用聞き外交」でアメリカに提案してきた自動車や鉄鋼などへの巨額投資プランや大豆・トウモロコシ・アメリカ車・LNG(液化天然ガス)などの輸入拡大は当然やってもらうというのが、トランプ政権の立場((2))。そのうえ米までとられて、トランプ関税に無様な敗北をすることになりかねません。
 卑屈な外交に終始してきた自公政権を少数に追い込み、不当なトランプ関税の撤回を求める政府を! 参議院選挙はその絶好のチャンスです。