下水汚泥肥料の中にPFAS 農民連食品分析センターが調査(2025年07月28日 第1660号)
価格高騰で輸入肥料の代わりに使用進む
農作物への移行はどうか?摂取した人体への影響は?
さらなる検査運動を呼びかけ

ペレットや粉末などの形状がある下水汚泥肥料
肥料価格の高騰が進み、輸入に頼っているリン酸アンモニウムの代わりのリン酸供給源として下水汚泥肥料の使用が推進されています。
下水処理場や工場内の処理施設等で、排水中に含まれる環境汚染の原因となる物質を、微生物により分解・吸着し、水を浄化しています。浄化の過程で微生物の死がいは集まって沈殿し、汚泥となります。汚泥は、植物の栄養となる窒素やリンを含むため、肥料への活用が進められています。
この下水汚泥肥料には重金属などのほかに、水道水や土壌の汚染が心配されているPFAS(ピーファス=健康被害が懸念されている有機フッ素化合物の総称)が含まれている場合があります。
農民連食品分析センター(分析センター)はこの実態調査を呼びかけており、6種類のサンプルの検査結果が出ましたので紹介します。
各地の汚泥肥料PFASが検出

PFAS測定の様子
調査結果を表に示します。5県6サンプルの調査で、すべての肥料からPFASが検出されました。
PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の2種のPFASの合計値で、最大で103マイクログラム(1キログラムあたり)となりました。

農水省も同様の調査を行っており、全国から収集した86点の汚泥肥料に含まれるPFOSとPFOAの濃度を調査。70%以上のサンプルから、検出されています。検出濃度の平均値はPFOSで4・9マイクログラム、PFOAでは16マイクログラムでした。最大ではPFOSが54マイクログラム、PFOAが250マイクログラム検出されました。(検出量はすべて1キログラム当たり)
農水省も汚泥肥料にPFASが含まれる場合、その蓄積量や農作物への移行、人体への影響などの調査・研究を行っています。しかし、その研究対象は十分とはいえません。
国に十分な調査・研究を行わせるためには、生産者自らが使用する肥料にどれくらいPFASが含まれているかを調べ、そのデータを農水省に突き付けることが重要です。
全国でPFASの検査運動を!
農民連本部と農民連ふるさとネットワーク、分析センターは、人体への影響が懸念される物質を農地に蓄積させないために、下水汚泥肥料や農業用水などに対するPFASの一大調査運動を呼びかけます。
自らが使う肥料で、自らの農地を汚染させるわけにはいきません。多くのみなさんのご協力を呼びかけます。
都道府県農民連や単位組合、産直センターなどでPFASの検査運動を進めるために、下水汚泥肥料や農業用水など、2検体以上の検査を行う場合、通常1検体の検査料金4万1800円(税込み)のところ、2万7500円(税込み)で対応します。期間は今年10月末までです。試料の送付方法など詳しい問い合わせは農民連食品分析センター(電話)03(5926)5131までお願いします。