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関電の新原発建設方針に強く抗議し撤回を求める ふくしま復興共同センターが声明(2025年08月11日 第1662号)

 ふくしま復興共同センターは7月25日、関電の新原発建設方針に対する抗議声明を発表しましたので紹介します。

 関西電力(森望社長)は、7月22日、福井県美浜町の美浜原発で、原発の新設に向け、地質調査を実施する方針を表明した。私たちは関西電力の原発新設方針に対し、強く抗議し、撤回を求める。
 最大の理由は、東京電力福島第一原発事故の実態を無視しているからである。
 事故を起こした原発では溶け落ちた燃料デブリの試験的取り出しが始まったが、依然として廃炉の見通しは立っていない。一昨年8月に、ALPS処理水の海洋放出が開始されたが、廃炉完了とする2051年までに終了する見通しはない。
 避難地域では、事故から14年が経過した今でも、住民が自由に出入りすることができない「帰還困難区域」が7つの市町村に広く残されている。避難指示が出された12市町村の発表によれば、5万4千人以上の住民が故郷に戻れず避難を続けている。故郷に戻った住民も、病院、買い物、仕事など毎日の生活において、さまざまな苦労が続いている。農林水産業や観光業などの再建にむけても、懸命な努力がすすめられているが、事故前の水準には戻っていない。
 原発はいったん事故を起こせば、家族も、くらしも、生業も、地域のコミュニティも、あらゆるものを破壊してしまい、長期にわたり、とりかえしのつかない被害をもたらしている―これが福島原発事故の実態である。この実態を無視して、原発の新設をすすめることは絶対に許されない。
 また、地震や津波を避けることができない日本で原発の運転を続けることはたいへん危険であり、無謀である。昨年の能登半島地震では、石川県の志賀原発や新潟県の柏崎刈羽原発で、大事故につながりかねないトラブルが発生した。一方、震源地であった珠洲市に原発建設を許さなかったことに対し、安どの声が広がった。新設をすすめる美浜原発が立地する敦賀半島周辺は、特に活断層が多い地域で、大地震が起きる可能性が指摘されている。原発事故は2度と起こしてはならない。そのためには原発をなくすことを決断すべきである。
 福島第一原発事故の最大の教訓は原発をなくすことである。関西電力が原発新設方針を撤回することを重ねて求めるものである。

 2025年7月25日
 東日本大震災・原発事故被害の救援・復興めざす福島県共同センター
(略称・ふくしま復興共同センター)
代表委員 野木茂雄(福島県労働組合総連合議長)
同 根本敬(福島県農民運動連合会会長)
同 北條徹(福島県民主医療機関連合会会長)
同 二宮三樹男(福島県商工団体連合会会長)
同 井上裕子(新日本婦人の会福島県本部会長)
同 町田和史(日本共産党福島県委員会委員長)
同 伊東達也(原発問題福島県民連絡会副代表)