旬の味(2025年08月25日 第1663号)
1学期の終わり、1年生の女の子が「先生、これなぁに?」と両手で持って来た緑色の小さな実。私は「もう柿の実がこんな大きさになったんだ」と、校庭にある柿の木の下に連れて行き、指差して見せた▼その子は次の日にも現れて、「今日はまだ緑色だったよ」と、報告に来た。柿の木隊長になったその子は、夏休みまでの間、毎日柿の木を見上げては走って来て報告してくれた▼夏休みの学校では、教室のメダカやカブトムシ、2年生の作った梅ジュースが職員室に集まってきた。これから、夏を乗り越えるべくお盆の1週間、警備員さんにお世話になる▼校庭には、子どもたちが一生懸命草取りをしたサツマイモに、ヒマワリ、ヘチマ、トマト、ナス、オクラ、ピーマン。農業に触れ、これからの社会を考えるきっかけにと取り組まれる大豆や稲も元気に育つ▼今年の稲は、この暑さでどうなるのか。各地の日々のニュースを、子どもたちは見ているだろうか。赤くなった柿の実を、あの子に見せることができるだろうか。(松)