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各地で深刻 水不足 農民連が渇水・高温障害緊急対策本部を設置 状況把握し政府に対策要求(2025年08月25日 第1663号)

 全国各地で異常な高温や水不足が続き、連日、最高気温が更新されるなど、米、果樹、野菜、畜産などあらゆる耕畜種に被害が広がっています。農民連本部は8月5日に長谷川敏郎会長を本部長に「渇水・高温障害緊急対策本部」を設置しました。今後、被害状況を把握し、必要な対策を政府に要求します。

 

「米つぐらせない気か?」 秋田市農民組合が市に対策申し入れ 

市に緊急に申し入れました

 秋田市農民組合(利部敏組合長)は8月1日、秋田市長に対して水不足対策を緊急に取るよう産業振興部農業農村振興課を訪れ申し入れを行いました。
 農民組合からは組合長ほか4人の役員、市議会議員1人(日本共産党)の6人が出席し、振興課側からは課長ほか2人の職員が対応しました。
 組合長からは水不足の現状報告が出され、「出穂期の水不足が今後の作柄に影響を与えることに懸念している」と説明しました。
 また、農民組合役員からは、「同じ秋田県でありながら横手市では対策として揚水ポンプの購入費や燃料の半額補助がされているのに秋田市ではまだ対策すら取れていない。市としての動きが遅いのではないか」などと意見が出され、農家への心配りを真剣に、早い行動力をもって対策を取ってもらうよう要請しました。

市は対応を約束

 課長からは、「昨日ほ場などの視察をし、状況を確認してきており、大変さを感じてきた。振興部長にも相談し至急対応したい」と返答をもらいました。
 また、こうした水不足のための要請はこれが初めてだと聞き、農家はもっと声を上げなければ経営も地域も守れないし、連帯もできないと思いました。行動する組合。行動する農民連。農家の守り手としてもっと行動していこうと思った緊急要請でした。

 (秋田県農民連事務局長 鈴木一)


山形県内で水不足が深刻 各地で農作物への被害が増大

 山形県では水不足の状況を、小林茂樹会長をはじめ、山形地方農民連、庄内農民連・最北農民連に聞き取りをしました。県内は、7月中にまともな雨は降っていません。
 山形市内にある水方土地改良区は山あいのため池を水源とする、小規模の改良区です。現在60%の水量で、大豆転作が多いため、給水制限という状況ではありませんが、周囲が低山のため水はたまりにくくなっているそうです。
 置賜(おきたま)地区では、水田より果樹へのダメージが大きく、小林会長のデラウエアはほぼ壊滅状態で、桃は例年より実が小さく、リンゴ畑には500リットルのタンクでこれまで60回水を運んでかん水しましたが、日焼けしている実も出ているそうです。例年通りの収穫は期待ができない状況。小林会長のスイカは何とか収穫できているところはありますが、周辺の畑では割れるなどの被害が大きく、ほぼ収穫ゼロが多いとのこと。養鶏もしていますが、卵も高温の影響もあり、小玉が多いそうです。
 また、周辺の畑の根菜類やアスパラガスも商品にはならない状態。
 庄内も渇水はひどく、特に中山間地の水田は雨水が頼りなのに、この間まったく降水がなく、収穫できないかもしれないと、農家は大きな不安を抱えています。
 特産のだだちゃ豆も葉が黄色くなるものもあり、見通しは暗い。
 最北地区も、山間地の水田は、雨水頼みなので、降水がなく、葉が黄色くなっている田んぼがあるとのこと。
 どの地区も、中山間地で雨水だよりの園地は収穫できるかどうかという状況におかれており、今後の雨予報に期待するしかない状態です。
 8月4日には、JA山形県中央会と山形県土地改良事業団体連合会は吉村美栄子県知事に渇水対策を行うよう緊急要請をしたと報道がありました。

(山形県農民連 山川隆)


ジャンボタニシが大発生 田んぼの各所に空間福岡市西区

1株に大発生したジャンボタニシ

田んぼには所々に空間が

 福岡市西区でも猛暑の中でも草の成長はすさまじい。草取り、草刈りにほんろうされる毎日が続いている。特にこれまで見たこともないような草も増えた。その繁殖力にはお手上げ状態だ。取っても、切っても……振り返れば草。
 お手上げと言えば、今年もジャンボタニシによる被害は大きい。いま一面に広がる水田の稲はかなり成長し、風に揺れている。
 しかし、あちこちに見える空間は寂しい。ジャンボタニシの食害がひどいところは揺れる稲より空白が多いところも何枚もある。

個人任せの対策解決はできない

 ジャンボタニシが出始めて20年余になるだろうか? 昨年よりも増えた気がする。
 水不足で田植えが終わって1週間以上、水を入れられないという異常な状態。「水の管理をきちんと……」等と個人任せの対策だけでは根本的な解決にはならないのではないだろうか?
 水をためられないことによる株、草の出来の悪さ等、問題は多い。
 「田植えと一緒に“農薬”をまいたばい」と、昨年まで薬をまくことに抵抗のあった近所の農家のおじさんの明るい笑顔が気になって仕方がない……。

(福岡・糸島農民組合 鬼木恵美子)