「デマと差別が蔓延する社会を許しません」 アピール(全文)(2025年08月25日 第1663号)
署名活動の主旨
国会議員はデマや差別をふりまくのでなく、それらを止め、外国人をふくむすべての人の基本的人権を守る義務を果たしてください。
私たちは今、日本社会の中で、外国人や外国にルーツを持つ人々への差別的な言動や排除の動き(排外主義)が広がっていることに、強い危機感を持っています。
とくに選挙期間には、「日本人ファースト」を掲げた政党が差別と分断をあおる演説をおこない、他の政党も「違法外国人ゼロ」「外国人への優遇見直し」などを主張して、排外主義を競い合うような状況さえ見られました。外国籍や外国にルーツのある多くの人たちが不安や恐怖を感じています。外国人だけでなく、女性、性的少数者、障がいのある人などに対するあらゆる差別的な言動を許さないという声を、もっと大きくしなければなりません。
差別はしばしばデマの拡散を手段として行われます。「外国人による重大犯罪が増えている」「男女共同参画推進によって少子化が進んだ」などは全く根拠のないデマです。こうしたデマと差別が、関東大震災のときの朝鮮人虐殺などにつながり、排外主義の矛先が、やがては国民に向けられた歴史を忘れてはなりません。
国会などの公的機関は、人種差別撤廃条約にもとづいて差別を禁止すべきです。日本国憲法にもとづき、女性や性的少数者への差別もなくしていくべきです。国籍、民族、性別、性的指向などに関わらず、すべての人の尊厳が大切にされる社会を目指すことこそ、政治の役割です。
国際人権規約は、すべての人の人権を平等に保障することを定めています。また、日本国憲法が保障する基本的人権は、「在留する外国人に対しても等しく及ぶ」と最高裁判決(1978年)が明言しています。
すべての国会議員には「この憲法を尊重し擁護する義務」(日本国憲法99条)があります。国会内外の場でデマ・差別をふりまくのでなく、それらを止め、人権と憲法を守るためにこそ行動することを求めます。
一部政党、政治家のデマや差別的発言によって、民主主義が壊され、自由が奪われ、戦争への道に進んでいくことを私たちは許すことができません。
多くの市民のみなさんが、人権と民主主義社会を守るために立ち上がることを呼びかけます。
2025年7月29日
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「デマと差別が蔓延する社会を許しません」アピール呼びかけ人一同(50音順)
指宿 昭一(弁護士/入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合代表)
太田 啓子(弁護士/発起人)
隠岐さや香(東京大学教授)
沖野 修也(DJ/音楽プロデューサー)
金平 茂紀(ジャーナリスト/日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)
田中 優子(法政大学元総長)
中島 京子(小説家/日本ペンクラブ常務理事)
畠山 澄子(ピースボート共同代表)
福田 和子(#なんでないのプロジェクト代表)
前川 喜平(元文部科学事務次官)
松尾 潔(音楽プロデューサー)
村山 由佳(作家)