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差別あおる風潮に危機感 傍観せずダメと言い続けよう 弁護士の太田啓子さんのコメント(2025年08月25日 第1663号)

 昨今急激に排外的な差別的な風潮が広がっていることに不安を覚えている人は少なくないのではないでしょうか。
 私が特に憂慮しているのは、「外国人の犯罪率が高い」「男女共同参画政策が少子化を促進した」などのデマがインターネットを経由してものすごいスピードで拡散し、それが現実の社会での差別的言動につながるというパターンがもはや定着していることです。
 差別・ヘイトがネットでたくさんの「いいね」を集め拡散され、それによって収益になってしまうことさえある現状、「差別を許さない」と明確に表明する声をあげることは今まで以上に重要になってきていると思います。
 7月の参議院選挙では「日本人ファースト」と排外主義をあおる参政党が大幅に議席を増やしたことが話題となりました。候補者が差別的な言動をすることが選挙でマイナスにならず、当選できてしまう例は国政選挙でも自治体選挙でも深刻で、強い警戒が必要な現象です。
 公人が差別的言動をするというのは、差別にお墨付きを与えるような効果があり、社会全体でカジュアルに差別が行われる風潮を助長します。政治家の差別的言動には特に目を光らせ、すぐにそれに抗議する反射神経が重要です。
 誰もが尊厳ある対等な個人として生きていける社会を諦めないために、それぞれの持ち場で、小さいことでいいのでできることをしませんか。差別を傍観せず、差別はダメだと愚直に言い続ける人が増えることにしか希望はないと思います。