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本の紹介 関根佳恵著(農文研ブックレット) どう進める?オーガニック給食 -世界の動向と日本のこれから-(2025年09月01日 第1664号)

公共調達は複数の課題を解決する“マスターキー”

 とても力強いブックレットです。本書は、
〇私たちはいま、「多重危機」に直面している、
〇これらの危機を克服できるかどうかは、現在の食と農のあり方を変えられるかどうかにかかっている、
〇食と農のあり方を持続可能で公正なものにしていくためのカギの1つが「有機農業の普及」である、
〇有機農業を普及させるため給食などの「公共調達」の見直しが重要であり、
〇公共調達によって食と農のあり方を変え、社会を変革していこう、ということを土台にして書かれています。
 著者は、小規模・家族農業やアグロエコロジーの調査・研究を行ってきた関根佳恵さん(愛知学院大学経済学部教授、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン「FFPJ」常務理事)。
 本書では「よい食」とは何か?公共調達で「よい食」を導入するうえで直面する5つの問い(例えば「有機食材の導入で利用者負担や自治体の財政負担が増えるのでは!?」)などのポイントや課題を具体的に明記。その上で、ブラジルやフランスなどの取り組みも紹介しながら、公共調達の役割と意義を軸に丁寧に解説しています。
 章の合間のコラムでは「学校給食費の無償化」、「改正食料・農業・農村基本法」などにも触れ、農業の近代化がもたらした弊害や、日本の農業政策の諸課題にも分かりやすく言及しています。
 何よりも、「自分たちの住む地域でオーガニック給食を実現させるにはどうすればいいのか!?」という疑問や「なかなか運動の広がりをつくれない現状をどう変えていけばいいのか」という思いを持っている方々に読んでもらいたい一冊です。

 10月23日(木)午後7時半から開催されるFFPJオンライン連続講座では、関根さんを講師に、本書について学習する予定です。

 定価 本体1000円+税
 A5判 100ページ
 注文はインターネット書店などから
 問い合わせ先 農文協普及局 電話048(233)9351 Fax048(299)2812