全国オーガニック給食視察研修会 持続可能な農業・環境維持に貢献を感じる 子どもたちに安全な食と未来を(2025年09月15日 第1666号)
栃木農民連会長
國母 克行
全国オーガニック給食協議会の視察研修会が8月18日、栃木県小山市で開催され、参加しました。2026年には小山市で第3回全国オーガニック給食フォーラムが開催されます。
小山の給食喫食 高い地場産比率

小山市の学校給食
はじめは、市役所会議室で学校給食の喫食。メニューは、ごはん(小山市産有機栽培米)、モロ(魚)のみそがらめ、かんぴょうのごま酢あえ、はとむぎ入りミネストローネなどで、野菜はすべて小山市産でした。
小山市の給食は対象34校に対し22の調理場があり、完全自校方式ではありませんが、そこで1回1万4千食が作られています。有機米年43回、冬水田んぼ米年7回、特別栽培米1学期など、お米を中心にオーガニック給食が実施されています。食材の地場産の比率も78・5%と、大変高くなっています。
市長が有機給食の役割を語る
浅野正富・小山市長のあいさつとお話がありました。小山市は「田園環境都市おやまビジョン」を掲げており、渡良瀬遊水地の広大な湿地がラムサール条約に登録され、市長も大きな役割を果たしました。
有機農業の役割として、学校給食利用による地産地消の経済的効果、教育的効果、食べ残しの減少など多くのメリットがあるそうです。公共調達として有機栽培米の全量買い取り、給食への提供も含め、有機に取り組む農家に対して恵まれた環境が準備されていると感じました。
市長は締めくくりに、「国の掲げたみどりの食料システム戦略を好機ととらえ、学校給食のオーガニック化などを活用し、皆さんで達成に向けて取り組みましょう」と訴えました。
講演とほ場見学 栽培技術を学ぶ

舘野理事長のほ場を見学
次に、稲作技術の紹介として民間稲作研究所の舘野廣幸理事長による「自然から学んだ有機稲作技術」(土と微生物と植物のネットワークから生まれる食べもの)の講演がありました。稲作は江戸後期まで持続可能な循環型有機栽培であり、明治以降の産業化の流れの中で農薬、化学肥料を多用し自然生態系からかけ離れた形で発展してきたと述べました。
その弊害の中から持続可能な有機農業へ転換する必要性と、広義の有機(生態系、共生、生命循環など)に取り組む重要性を解説しました。
舘野さんのほ場(野木町)見学では、無肥料でスズメノテッポウを緑肥として利用する田んぼは、ちょうど稲穂が垂れてくる時期でしたが、雑草はほとんど見られませんでした。
今回の研修を通じて、子どもの権利として安全な食、豊かな未来の保障が必要だと感じました。