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第70回日本母親大会in東京 大軍拡ノーいのち守る共同大きく!(2025年10月13日 第1670号)

日本の農業・農家守ろう
“ピンチをチャンスに”する運動を

 今年で第70回の節目の開催となった日本母親大会in東京が9月27、28の両日、東京都内で開催され、のべ約1万3000人(オンライン参加含む)が参加しました。

地域から市民参加で農業守ろう

全体会で訴える農民連女性部のみなさん

熱気にあふれた食と農の分科会

 1日目は分科会が行われ、子ども・教育、暮らし、女性と人権、平和などをテーマに17の分科会(特別企画含む)と3つの見学分科会が開かれました。
 「日本の農業の再生を--私たちの食料はどうなる」をテーマに、OKシードプロジェクトの印鑰(いんやく)智哉さんを助言者に迎えた第7分科会は、会場いっぱいの244人が参加。立ち見や床座りの人も出るほどの大盛況となりました。
 はじめに印鑰さんが講演しました。印鑰さんは、米価格の高騰を切り口に、農家戸数の減少や食料自給率の低下などを解説。「自民党政権は米不足で農業予算の拡大を言い出したが、肝心の農家への所得補償は含まれず、大規模化とスマート農業、輸出拡大が3本柱になっている」と指摘。アグロエコロジーや小規模農業の大切さ、とりわけ日本での水田の重要性を強調しました。
 また、今、農水省が推進する「節水型乾田直播」では農薬使用量が増え、モンサント(現在はバイエル)が長年、推進してきたものであることも紹介し、「有機農業こそが解決策。地場産の学校給食など市民参加で地域から食料主権を取り戻していこう。ピンチをチャンスにしていこう」と呼びかけました。

生産者も消費者も力を合わせて

 討論では、「日本の農業・農家を守るにはどうしたらいいか」と模索する意見が相次ぎました。
 千葉の農民連会員は、「稲刈りがほぼ終わってきたが、高温障害で半分以上が2等以下。モチ米の価格も高騰しているが、国はモチ米価格など調べていないのでは」と米作りの現状を報告。
 また生産者からは、「地域では80代の農家が主力で若い農業の担い手がいない。このままでは農地が荒れてしまう」(滋賀)、「赤字続きで米作りをしてきたが、コンバインの故障をきっかけに4年前に米作りを断念した。地域の若い生産者は、朝から晩まで働き続けている実態を、消費者にも知ってもらいたい」(茨城)などの声が上がりました。
 消費者からは、「日本の農業を再生させるには、今こそ市場任せの農政を変えていかねば」(東京)、「静岡市では市長がオーガニックビレッジ宣言をしたのはよいが、お茶の輸出支援に力点がおかれているのが実態。“ピンチをチャンスに”できるかは、私たちの運動次第だと痛感する。全国の“オバチャン”たち、立ち上がろう!」(静岡)などの意見が次々とあがり、そのたびに大きな拍手が沸き起こっていました。
 京都の参加者からは、新日本婦人の会と農民連の産直運動のなかで農業ボランティアが始まり、大学生や子育てサークルでの農業体験にまで広がっていることが報告され、「消費者も生産者と共同して、小さな畑でもいいので自ら食べ物を作る取り組みを広げていこう」との呼びかけもありました。

若者に就農断念させない支援を

 また、東京の消費者の参加者から「息子が新規就農めざして就農支援制度を活用して農業短大を出たが、すぐには新規就農できず、大規模農家の雇用労働者になった。しかし低賃金で農業技術も身につかない毎日に希望を失い、農家になる夢を断念した。どうすれば就農希望の若者が新規就農できるのだろうか」という痛切な訴えが上がりました。
 すかさず就農して3年目という栃木県の参加者から「今の就農支援制度では小さな農家は対象にならない。農地を借りるにも、よそ者や女性では大変難しい。もっと実態に合った就農支援をしてほしい」という発言が続きました。
 参加者は最後に、「大規模農業だけでなく、小規模農家や若い農業者が継続できるよう、農家への直接支払いの支援制度を拡充させよう」など6項目の申し合わせ事項を満場の拍手で確認し、閉会しました。

 2日目は全体会が行われ、ジャーナリストの布施祐仁さんが講演。各分野・団体の活動を交流する「今日の運動」では、農民連女性部も登壇。「気候変動が深刻なのに、命の糧である食料を外国に頼ったままでいいのでしょうか。軍事費ではなく農業予算を増やし、食料と農業を守る政治に転換していきましょう」と訴えると、会場からは「そうだ!!」の掛け声とともに、ひときわ大きな拍手が沸き起こりました。
 第71回大会は来年9月12、13日に、宮城県で開催されます。