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農民連 全国代表者会議を開催 たたかいと要求実現運動を前進させ組織づくりに全力(2025年10月13日 第1670号)

食と農を守る運動を全国で展開し、所得補償の実現を
全国委員会を節に会員と読者の拡大を提起

 農民連は10月3日、都内で全国代表者会議を開きました。来年1月に開催する全国委員会に向けた食と農を守る運動と仲間つくりを進め、強く大きな農民連をつくる決意を固め合いました。

情勢切り開いたたたかいに確信

報告する長谷川会長

 長谷川敏郎会長が開会あいさつと情勢報告を行いました。
 冒頭、「会議の翌日に自民党の新総裁が決まり、15日に臨時国会召集の予定だが、参議院選挙で敗北した石破自民・公明政権が国民生活そっちのけで、2カ月半の政治空白を招いた責任は重大。誰が総裁になろうとも、日本の政治に、より深刻な逆行をもたらす危険が生まれている」と指摘しました。
 一方で、自公政権を衆参で少数与党に転落させたことは、アメリカ言いなり、大企業の利益最優先の新自由主義農政の破綻であり、私たちの運動次第で、米不足や食と農の危機を招いた自民党農政を根本から断ち切り、農民連が求めてきた農政へ転換する絶好のチャンスでもあり、「思想・信条の違い、政党支持の違いを超えて、新しい国民的共同をつくるために農民連の奮闘が求められている」と述べました。
 食と農の危機を打開するカギは、「新しい国民的・民主的共同をつくるたたかい、一致する要求に基づく共同を広げること」であり、「食料・農業・農村基本法」改定の反対で足並みをそろえた5野党(立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民)が総選挙で食料自給率50%目標を公約し、参院選では所得補償(直接支払い)を公約に掲げたことを示し、「今こそ、公約実現へ野党は直ちに協議せよ! 一致点を広げ、制度実現へ」を迫っていく時だと呼びかけました。
 「いま、農民連の情報発信と行動が注目されている」と述べ、主婦連合会が長谷川会長を講師に「食と農の未来を考える」学習会を開き、徳島県農民連主催の食と農を守る講演会では県農協中央会の橋本浩組合長が来賓あいさつし、講演を最後まで聞いたことなどを紹介しました。
 最後に、「私たちがめざす米政策や農政転換の中心課題である所得補償制度を実現するには、政党間の政策の協議と同時に、それを前に進めるのは、農民と国民の大きな合意と世論、運動の広がり」だと強調しました。「いまのチャンスは農民や地域の中に足を踏み出し、行動することによって実感できる。このチャンスを握って離さず、農家経営を守るためにも、新聞『農民』と仲間増やしを大きく進めることを呼びかける」と訴えました。

地域で支え合い変えるチャンス

 藤原麻子事務局長が常任委員会を代表して報告。食料自給率の向上、所得補償の制度化を求める運動を進めるために、広範な団体にも呼びかけて学習会、集い、語る会、多様な集まりを全国無数に開催し、食健連運動を一緒に進めてきた組織、令和の百姓一揆のつながりなど広範な団体に呼びかけることを提起しました。
 さらに、農民連の『記帳簿』や確定申告の書類を使って、生産者が自らの生産コストを明確にすることで、生産の実態に即した所得補償制度を実現する力になることを強調しました。
 6月から8月までの「仲間づくり集中期間」は、参院選と結んだ取り組みだったが、29都道府県連・1団体で会員36人、読者133人を拡大し、選挙向けの新聞「農民」号外を50万部普及し、食と農の学習会が旺盛に繰り広げられたことを紹介。一方で、仲間づくりを進めるための会議が設定できない県連もあり、最低限の目標として呼びかけた「10人の会員と10人の読者」を両達成した県はなく、新聞拡大で10部を達成したのは3県連にとどまり、全体としては不十分な結果だったことを報告。
 藤原事務局長は、来年1月の全国委員会に向けて今回の全国代表者会議をスタートに「会員と読者を増やして所得補償実現運動」に取り組むことを呼びかけました。
 さらに、自主申告運動やあらゆる相談に応えられる取り組みを呼びかけ、アンケートの実施や新規就農支援、青年部活動を重点に位置づけ、あらゆる活動で、積極的に女性の参加を呼びかけることを提起しました。
 「ものを作ってこそ農民、地域から支えあって増産を」と訴え、集落の農地と生産を守るための話し合い、自治体・JAなどとの懇談を行い、消費者とともに地域と生産、農家を守る取り組みを発展させる運動を呼びかけるとともに、新日本婦人の会と農民連の産直運動を進めるために、各都道府県で定期協議を定例化させ、米問題や食と農の危機の学習会を連続して行うことを訴えました。
 農民連ふるさとネットワークの湯川喜朗事務局長が米情勢について、農民連食品分析センターの八田純人所長が検査運動強化のための特別報告を行いました。

産直や学校給食で自給率向上へ

 会長、事務局長報告についての討論は14人が発言。
 自給率向上の取り組みでは、和歌山県連の土井康弘会長が、オーガニックや完全米飯給食など学校給食の取り組みを報告し、埼玉県連の立石昌義会長、福島県連の岩渕望事務局長は、自治体への陳情・請願活動を通じた意見書採択の実践を紹介しました。
 産直運動の課題では、神奈川県連の高橋康雄会長が、要求から出発しようとアンケート活動に取り組み、新規就農者が販売先に困っている実態をとらえ、販路確保の要求で会員を増やしている経験を述べ、福岡県連の藤嶋嘉子事務局長は、米問題や食と農の危機の学習会を連続して行い、新婦人産直の取り組みの中で、「組合をやめる」と言っていた会員を訪問し、継続を働きかけた結果、会員としてとどまり、産直に出荷することになった成果を報告しました。