実りの秋~米検査の現場から~(2025年10月20日 第1671号)
千葉 高温障害、カメムシ被害… 約半分が2等級以下に
新品種への切り替え進む
酒々井(しすい)町にある米倉庫の様子
千葉県では、今まではお盆を過ぎてから始まっていた米の検査業務が、昨年と今年はお盆前からスタートしました。昨年同様、カメムシによる被害の他に酷暑による「高温障害」で米粒の全体や一部(中心部や周り)が白い、「乳白米」が多く見られました。
米の検査ではこういったいわゆる「被害粒」が多いと等級が下がり、その分、価格も下がります。
ふるさとちばネットワークとして千葉県内で8月から9月までに検査した米の約半分が2等級以下という結果でした。1等級から2等級では1俵あたり数百円の値下がりですが、出荷数量によっては生産者の収入に大きな影響となります。
生産者も「(コシヒカリ以外の)高温に強い品種に切り替えるしかない」「来年はコシヒカリ(の作付け)を減らして、別品種を増やすかな」と話しています。実際にもうすでに新しい品種の作付けの準備を始めている生産者もいます。
暑さが過酷になる時期に作業が重なり、農業労災事故も増えています。高齢化と相まって今までは難なくできていた農作業の中でのケガが増えている状況です。
この異常な気候の問題は生産現場や農家だけではどうにもなりません。農民連が推奨するアグロエコロジーの推進とあわせて、環境問題の解決は国民的課題として取り組みを訴え続けていくことが必要です。
(千葉県農民連事務局長 谷川聡子)

