農民連青年部が新規就農支援制度の農水省レクチャーを実施(2025年10月27日 第1672号)
稲作独自の新規就農支援制度や兼業農家の支援など拡充求める
農民連青年部は10月10日、新規就農者の支援制度に関する農水省レクチャーを開催しました。
農水省の担当者から制度の説明を受けた後で、参加者から質問や要望を伝えました。
山形の阿部佑一さんは、10年前に自身が新規就農した際の実例を詳しく紹介し、「物価・資材価格も高騰し、最低賃金も上がっているのに、年間150万円がずっと変わらないのはおかしい。報告書を提出させるが、営農のサポートが全然ない。自治体の対応の格差を農水省として対応してほしい」と訴えました。
大阪の下村晴道さんは、「3年ではなく、自立して営農ができるまでせめて10年くらいは支援を。地域計画のない自治体では支援が受けられるかどうかもわからない」など、支援制度が扱いにくく、不十分だと述べました。
千葉県の田端大輝さん、希さん夫妻は、「稲作の新規就農者は、設備投資に多額の資金が必要で、設備や機械を置く倉庫も必要なのに農機具などを置くための住居は確保が困難な上に支援もなく、農業を続けるために3000万円以上の住宅ローンを組んだ。稲作独自の新規就農支援制度が必要」と訴えます。
新潟の相澤堅さんは、「米価が上がっている今でも、30~50代の兼業農家が『体か機械が壊れたらやめる』と話す。地域共同で管理してきた水路の管理も、複数人がいないと補助事業が受けられず、自己資金で行っている。兼業農家が農業を続けられる制度にしてほしい。支援事業に“規模拡大”の要件がついているが、中山間地域ではこれ以上規模拡大できないほどやり切っている」と現場の実態と制度の矛盾を指摘しました。
三重県で農業研修生を受け入れている瀬古由起子さんは、「就農しても定着できず離れる人が多い。補助金が後払いで半年ごとのために生活に困窮する。支払いを早めてほしい。地域おこし協力隊より圧倒的に低い年額150万円も、もっと上げるべき。また、後継者を育てるために1人60万円の補助では、国民の食と、国土を保全する農家を志す人に対する支援としては不十分。抜本的に拡充を」と求めました。
国は支払い時期変更可能と回答
農水省からは経営開始資金の支払い時期について「柔軟な対応ができるよう制度を変更している。自治体に相談してほしい」と回答。すぐに自治体に連絡して支払い時期を早めてもらうことができたという、参加者からのうれしい報告もありました。
農民連青年部では各地から実態や要望を聞き取り、農水省に要請する場を設ける計画です。ぜひ各地の声をお寄せください。

