所得補償制度の実現めざし各地で大きく運動進めよう(2025年10月27日 第1672号)
農家経営の安定めざし各地で意見書採択進む
6月地方議会では、各地で農家経営の安定をめざすさまざまな意見書が次のように採択されました。
●「米の価格高騰を抑え安定供給を図るための農業政策強化を求める意見書」(青森市)
●「米政策における安定供給と持続可能な農業政策の構築を求める意見書」(東京都小金井市)
●「農業者の立場に立った持続可能な農業政策の実現を求める意見書」(群馬県安中市)
●「国内農業を犠牲としない日米関税交渉などを求める意見書」(北海道士別市議会)
●「国内農業を犠牲としない日米関税交渉及び、米価の再生産可能価格維持を求める意見書」(北海道美唄市議会)
●「日本の農業を持続発展させるための意見書」(三重県松阪市議会)
●「食料自給率向上に向けた農政の抜本的転換を求める意見書」(神奈川県座間市議会)
所得補償の実現を求める意見書を全会一致で採択
=山形県鶴岡市議会=
山形県鶴岡市議会で「農業の再生と食料安全保障の確立に向けた実効性のある所得補償制度の実現を求める意見書」が全会一致で可決されました。
所得補償実現は国民の生存基盤
田んぼの前で菅井さん
庄内農民連の菅井巌顧問(鶴岡市議)が、無所属の市民派議員と共同で議員提案しました。
意見書には、「後継者不足、生産資材価格高騰、異常気象の頻発という複合的な危機に直面し、国民の命の根幹である『食』が根底から揺らいでいます。他国では農業者の所得を直接的に補償する制度を国家の基本政策として位置付けています。食料生産は国民の生存と国家の独立を守る基盤だからです。気候や市況に左右される農業には、所得補償を行うことが重要です」などの文言が明記されました。
与党系議員も行き詰まり認め
議会では、与党系議員から民主党時代の戸別所得補償制度についての立場の違いなどから、否定的な意見も出されました。菅井さんは意見を受け止めつつ、「米騒動が起きたように、農業の岩盤が壊れ、これまでの農政ではもたないという思いは一致できるはずです」と丁寧に議論を尽くす中で、農家出身の与党系議員も「所得補償がなければ、安心して農業は続けられない」と認め、自民党系、公明党議員も含め全会一致での採択となりました。
意見書を広げて地域で運動強め
所得補償の実現を求める地域の農家からは、「今年は米価が上がりほっとしている」との一方で「ここまで米価が高騰すると今度は、消費者の買い控えによる米余りで、また米価が下がるのではと不安」という意見が寄せられています。
「令和の米騒動を契機に、消費者が農業生産の苦労を広く知る機会にもなったと思います。消費者も安心して国産の食料を手にしたいと願っているはずです。農家なくして国産の農産物は食べられません。だからこそ、全国で生産者も消費者も一緒に、価格保障と所得補償を実現する大きな運動を起こしていく必要があります」と菅井さん。
「これから農家や消費者、地域のみなさんに、市議会で全会一致で意見書が上がったことを広めて、庄内全体でも実現のための運動を広げ、拡大にも結びつけたい」と決意を語っています。

