アイコン 新聞「農民」

旬の味(2025年11月03日 第1673号)

 「泥団子作ったことある人~?」と1年生の教室で先生が聞いた。「は~い」とニコニコ手を挙げる子どもたち。同時に、70人の学年で20人も手を挙げない子がいたことがわかった。土は汚れるから触らないでと、親から教わってきたらしい▼世界では今、食物を育てられる土が減っている。気候変動、森林伐採、過放牧、不適切な農法などにより、土壌が流出し、土地がやせ細っていく現象である▼土壌劣化が地球規模で進行している深刻な環境問題が進み続けるのは、「土」という当たり前に思っている物の本質を感じ取ってこなかったことにあるのではないか▼土壌細菌は、人間の腸内細菌と一致すると言われている。土が健康でなければ、人間は健康に生きることができないということだ▼先生方は、1年生に「土のひみつ」という紙芝居を作り、土を源にした生命の話を子どもたちと一緒に考えた。来年は2年生になるこの子たちが、下級生に土の大切さを、育てたアサガオの種と一緒に手渡すことに決めたようだ。(松)