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高市自・維連立政権が発足 憲法改悪、防衛力強化などを主張 戦後最悪の反動政権の危険(2025年11月03日 第1673号)

自給率向上、米危機 合意文書でも一切触れず

最悪の反動政権。高市首相(前列中央)、
鈴木農相(4段目右端)

 10月21日に成立した自民党と日本維新の会(維新)の連立政権は、戦後最悪の反動政権になる危険をもっています。自民党は衆議院、参議院とも少数与党のなか、公明党の連立離脱で政権が維持できないという危機に陥っていました。
 しかし、維新との連立合意で辛うじて高市早苗氏を首相に選出しました。高市氏は自民党内屈指の保守強硬派であり、憲法改悪・防衛力強化・伝統的社会観の維持で際立った主張を繰り返してきました。

高市自維連立政権発足
憲法改悪、原発再稼働、議員定数削減を推進

 高市政権にいわば「アクセル役」として連立を組んだのが、維新です。
 両党の連立合意書では、憲法9条「改正」に関する両党の条文起草協議会を設置▽緊急事態条項について憲法「改正」▽原子力発電所の再稼働▽ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応▽1割を目標に衆議院議員定数を削減するため25年臨時国会で議員立法案を提出し、成立を目指すなど、一気に民主主義破壊と排外主義政策を進めようとしています。
 高市首相は24日の所信表明で、軍事費のGDP(国内総生産)比2%達成の前倒しを公言しました。
 両党の合意文書では、農業分野については、せいぜい植物工場などの施設型食料生産設備への大型投資を実現することしか述べず、食料自給率向上も米危機への対応も一切触れていません。
 しかし、25年参議院選挙で維新は「コメの国内生産量の不足と保護的なコメ輸入制度による安価な海外産コメの輸入抑制が米価高騰の根本原因」とすり替え、「ミニマムアクセス枠外の関税を大幅に引き下げ」ることを公約し、これまで自民党でも公然とは言えなかった外国米輸入拡大の推進を掲げています。

従来の方針踏襲 鈴木憲和新農相

 新しく就任した鈴木憲和農水大臣は、22日の就任会見で米生産について「需要に応じた生産」方針を繰り返し、石破前内閣の「増産」方針を転換すること、価格もマーケットに任せると述べ、従来の農水省方針に戻ることを表明しました。
 また、「農地の大区画化・集約化、共同利用施設の更新、スマート農業、輸出産地の育成」の構造転換を集中的に推進すると述べています。早速、連立合意に基づき、「新たなテクノロジーを活用した完全閉鎖型の植物工場や、陸上養殖施設等への投資拡大」には妙に力を入れてノリノリです。

基本法改定に賛成の維新の会

 維新は「食料・農業・農村基本法」改定に賛成した唯一の野党であり、自給率向上にも直接所得補償にも後ろ向き。米輸入拡大推進や一般企業による農地取得、地域農協から「金融部門の分離」を促すなど、自民党以上に農政解体を主張してきた党です。悪政の大本である自民党と維新の連合は、まさに、最悪の農政の反動連合の出現と言わざるをえません。