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新婦人(神奈川・藤沢支部)が食の安全学習会 千葉・多古町センター 神奈川・供給センター 講師に

産直運動で食と農を守る共同を確認
農業の危機学ぶ
豚肉料理を囲んで

 神奈川県の新日本婦人の会藤沢支部は10月29日、藤沢市内で食の安全学習会を開きました。

多古・小林さん 農政の問題語る

講師の小林さん

 千葉県の多古町旬の味産直センターの小林由紀夫さんが講師を務め、「市民参加型の米作りで日本の食の未来を守ろう」のテーマで講演しました。
 現在の米騒動は、政府が米の安定供給への責任を放棄し、市場に丸投げしたことが原因だと述べ、備蓄米の大放出や輸入米の増加で乗り切ろうとする政府を批判。米騒動の解決のために「米価の安定、価格保障・所得補償の実施、作付け拡大が求められている。学校給食や子ども食堂などに供給する米を農家から買い上げるとともに、農家とつながり、米作りに一緒に参加するなど、産直による買いもの投票行動こそ食料危機を解決する道」だと訴えました。
 日本の農家を守り、国産米を食べ続けるために、新婦人との産直運動をさらに進め、「食と農を守る運動を一緒に進めよう」と呼びかけました。
 質疑応答の時間では、「国や県は農家の育成に後ろ向きなのはおかしい。もっと担い手を増やすべきだ」「気候によって米の味覚にどう違いがでてくるのか」「果物の産直も通年で実施してほしい」などの意見、疑問、要望が出されました。

豚肉産直のよさ 食べてアピール

豚しゃぶしゃぶを囲んで交流

 学習会のあとは、神奈川農畜産物供給センターが用意した豚肉を、しゃぶしゃぶで調理、試食しながら交流。供給センターの五十嵐順一さんが、「肉の色はスーパーで販売しているものに比べて赤みがうっすらとしています。飼料に米を与えているからです。ほかにもサツマイモをはじめ、トウモロコシも遺伝子組み換えから分別されたものを使うなどこだわって飼育しています」と説明。ハム、ウインナー、ベーコン、スモークレバーなど加工品についても、添加物を使わず、子どもたちも安心して食べられることを強調しました。
 養豚から加工までを行う丹沢農場(愛川町)の苅田広野さんも、広々とした豚舎で豚にストレスを与えない環境で飼育していることを紹介。おいしい肉の調理の仕方、食べ方を紹介しながら、肉ボックスの利用を呼びかけました。
 交流の中では、「子どもが給食のお肉よりもおいしいと言ってくれる」「お肉に甘みがあって食べやすい」などの声が出されました。
 苅田さんは、「参加者の半数以上が肉の産直ボックスを利用していることを知り、心強かったです。産直のよさを伝え、周りにも広めてもらえれば」と期待を寄せます。

新婦人と農民連 産直で仲間迎え

 この日は、新婦人神奈川県本部の田中由美子会長も参加。「時給10円の米農家、農業予算も少なく、食料自給率も低い日本の農業政策は問題だらけです。神奈川も自給率が2%程度で学校給食に地場産、有機の食材をもっと提供するよう要請しなければなりません。農業を守っていくためにもこうした学習会は大切なことです。農政を変えるためにも、新婦人の仲間を増やして産直運動を大きく発展させることが求められています」と力を込めます。
 学習会では、参加者の一人が新婦人の仲間に加わりました。
 藤沢支部の佐々木真紀支部長は「子どもの頃に覚えた味覚は、おとなになっても覚えていることから、子どものときに健康で文化的な食生活を送ることが大事ですね。食と農の危機を解決するためにも、生産者と消費者が手を携え、産直運動を広げていかねばならないと改めて思います。食の問題は誰でも関心があり、身近なこと。子どもたちや家族の健康を守るために、今後も食と農の学習に取り組み、知り合いのお母さんたちにも気軽に声をかけて参加を広げていきたい」と決意しています。