仲間作りに奮闘する愛知農民連 世代を超えて入会(2025年11月17日 第1675号)
愛知農民連ではこの間、2人の会員を迎えました。
豊橋市の新規就農者、中島悠太さん(28)は今年3月に入会。豊川市の野菜農家のDさんは、農家訪問を行うなかで、10月に加入しました。「地域で信頼される農家になりたい」と奮闘する中島さんとDさんを紹介します。
農業に挑戦する青年の希望に
新規就農で野菜づくり
中島 悠太さん(28)=豊橋市
脱サラして就農 家族とともに
今回入会した中島さん
中島さんは、2年前に農業資材の会社から脱サラし、新規就農を決意しました。その理由を中島さんは、前職で農家を回る中で、もともと土いじりが好きだったこともあり、「自分で耕したい。自分もできるかもと思うようになったからです」と、満面の笑みで語ります。
就農当初は、相談できる知人もなく、インターネットを頼りに一人で情報を集め、畑を借りて、トラクターを購入し、手探りでスタートしました。春の北風で、トンネルマルチが全部飛ばされるなど、何度も失敗を経験しました。
ピーマンを3月から促成栽培し、単収を増やすなどの試行錯誤で、今では困難も乗り越え、少量多品目でオクラ、ナス、ズッキーニ、さつまいもなどを育て、軌道に乗り始めています。
今後は、定年退職した両親など、家族みんなで農業に取り組む計画です。
補助制度断られ農民連に相談
農作業する中島さん
農民連とのつながりができたのは、就農相談に訪ねた行政の窓口で、不親切な対応をされたことからです。「研修先を自分で見つければ、相談に乗れる」「今の小さい畑では限界があるのでは?」などと、不親切で不当とも受け取れる対応をされました。
それでも、窓口へ何度も通い、書類を作成しても、「この中身では現実味がないから通せない」と言われ、ここは就農を応援してはくれないのだと感じた中島さんは、「本気で農業をやります」と行動で示すことを決意。自力で畑を借りて、トラクターも購入し、栽培を本格的に開始しました。
ところが、行政から「すでに就農している」とあつかわれ、本来受給できるはずの国の新規就農支援制度「経営開始資金」(年150万円を3年間)を受けられないと言われたのです。
困った中島さんが「新規就農の補助金が受けられない」と農民連に相談し、今年3月、入会につながりました。
農業に挑戦する青年の希望に
今後は、ハウス施設も増やして、規模拡大を着実に進める計画も立てています。中島さんは、「自分は、就農時の困難さや痛みを誰よりも知っています。だからこそ、農業でちゃんと生計を立てられる農家になって、これから農業に挑戦する若者に、自分の経験やノウハウを伝えて、一緒に成長できる存在になりたい。そのためにも、いまは地域で信頼される農家になれるようにがんばりたい」と決意を語ります。
願い実現へ青年部動き出す
「農民連では農業に関わるいろいろな情報を教えてほしいです。自分の経験も役に立てたい」と語る中島さん。
農民連青年部では、就農を志す青年の困難を聞き取る要求アンケートを通じて、農水省へ要請を行う予定です。すでに全国から、「物価も資材価格も高騰する中で、年150万円の補助額が変わらないのは苦しい」、「農業経営に見合った住宅の確保も支援してほしい」、「指導農家への補助が60万では赤字続き」など、切実な実態も寄せられています。
農水省は、規模拡大や農地集積、地域計画に沿った人などを前提にしており、ぜい弱な支援施策の抜本的強化が必要です。
地域農業の現状変えたい
農業に専念 社会の力になれば
豊川市のベテラン小松菜生産農家も入会
対話する本多さん
愛知県連の本多正一事務局長はこの間、通年での仲間作りへ、農家訪問を行っています。その中で、アツミ産直センターの産直でつながっている小松菜農家のDさんも入会しました。
Dさんは、自由な校風で、不登校の子どもたちがのびのび学べることで知られる高校の職員でした。いまは高校の関連だった農業法人で農業に専念し、「社会の力になれば」のポリシーで、市民団体に加工品を手頃な価格で卸すこともあります。
Dさんは、「過疎化、放棄地が目立つ現状を変えたい」と、青年農家を育成する準備を進めています。また、「地域ぐるみで解決策を考えたい」と、老人会にも関わり始めています。
本多事務局長が、「農民連は、産直や税金の集団申告など農業経営を支えつつ、国や行政に農民の声や要求を届け、農政を変える運動もしています。Dさんの力が必要です。一緒にやりましょう」と呼びかけると、Dさんは、快く入会しました。
愛知でも「令和の百姓一揆」を
愛知県連はいま、11月16日の「令和の百姓一揆in愛知東三河の陣」の成功へ奮闘中です。本多さんは、「改めて地域の農家への声かけが大事だと思った。地域活動も活性化し、県連目標の達成に力を尽くしたい」と決意を語っています。

