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東京農民連が都に要請(2025年11月17日 第1675号)

都市・島しょ農業振興
八丈島台風被害の対策を

 10月28日、東京農民連は、都市農業と島しょ農業への支援策と八丈島の台風被害の対策などを求めて、都に要請しました。

島しょ部は船減便で生活インフラ崩壊の危機

都に要請する武山会長(左から4人目)ら

 要請では、▽都市農業基本法を実効あるものにするため、農業振興施策を確立すること▽資材の高騰対策の強化▽畜産・酪農支援の強化▽学校給食への地場産と有機農産物の活用▽島しょ農業の要求と八丈島の台風被害対策▽米の安定供給を国に求めること--などです。
 伊豆大島・大島町の酒井周さんは、台湾ザルやキョンなどの有害獣の対策強化を求め、また、本州と島しょ部を結ぶ船の減便が続いており、農業、漁業の出荷や島しょ部全体の生活に支障をきたしていることから、「船はライフライン。都は事業者任せにせず、人員と船を確保してほしい」と求めました。

八丈島の台風被害で農業は「壊滅的被害」

 利島村の笹岡寿一さんは、特産の椿(つばき)油振興と、害獣被害の対策強化を求めました。八丈島の台風被害について、報道では、家屋の倒壊などが盛んに報じられますが、農業も壊滅的被害を受けています。八丈島農協の関係者は「施設も加工所も飛ばされた。収入が突然途絶えた農家をどうするのか。行政の支援が必要だ」との声を紹介し、「島の資材や人材では再建不可能です。激甚災害指定も都から国に迫ってほしい」と訴えました。
 10月31日に政府は「激甚災害」を適用しました。

後継者確保へ、都は具体的に対応を

 町田市の大野誠さんは、「後継者不足が深刻です。就農を希望する人と、後継者が欲しい農家を結びつける仕組みを都でも考えてほしい」「食育学習で児童・生徒が農業体験をすることは貴重な機会だが、農家の負担もあることから、都が支援を」と強調しました。また、「チュウゴクアミガサハゴロモの害虫被害が発生し、野菜が変色し、商品にならない。対応を」と求めました。

都市農業支援、米の安定供給を

 武山健二郎会長は、「東京には豊かな自然と宅地が共存し、農家が環境を守っている。特殊な地域性に対応した農業振興の施策、農業改良普及センターの質的な機能強化が必要です。農家の要望を聞いて、都市農業支援の抜本的強化を」と迫りました。
 横山昭三さん(農民連顧問・東京農民連理事)は米危機に触れ、生産を抑制したうえで市場任せにしてきた政府の責任を指摘し、「自給率ゼロ%の東京都から、都民の食といのちを守るために米の安定供給、農家への所得補償、価格保障を国に求めよ」と要請しました。
 都の担当者は、都市農業の重要性は認めながらも従来の対策の説明にとどまり、都市農業基本法や船減便問題、米の安定供給を求める要請には、「担当部署が違う」「米は国の施策」などの答弁に終始しました。