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農水省 官房長に米問題で要請 需要に応じた生産やめよ 備蓄水準復活急げ(2025年11月24日 第1676号)

農民連とふるさとネット

宮浦官房長(左から3人目)に要請書を手渡す長谷川会長(その右)ら

 農民連と農民連ふるさとネットワークは11月11日、鈴木憲和農水相あてに「備蓄米機能の正常化と米の増産に向けた政策転換を求める緊急要請」を行いました。

市場任せの米政策は転換せよ

 農民連から、長谷川敏郎会長、笹渡義夫副会長、藤原麻子事務局長、ふるさとネットの湯川喜朗事務局長らが参加。農水省は、宮浦浩司大臣官房長が応対しました。日本共産党の岩渕友参院議員が同席しました。
 要請内容は、(1)「需要に応じた生産」方式を改め、(2)政府備蓄米の基準水準(100万トン)の早期回復、所得補償・価格保障を実現する、(3)米価高騰対策として農水省独自でおこめ券やクーポンなどの直接給付を実施する――などです。
 冒頭、長谷川会長は、「25年産主食用米は、生産者の努力により、増産となったが、飼料用米や加工用米からの振り替えによるもので、水田作付面積は増えていない。そのうえ農水大臣が代わったら『米は減産』と言われ、農家は26年産米の作付けをどうしたらいいか不安をもっている。『需要に応じた生産』政策で農家は苦しめられている。政府備蓄米も30万トン程度しかなく、空っぽ同然。放置は許されない。いままでの市場任せの施策を転換し、米の需給と価格の安定に責任をもち、生産と消費者米価の安定を図ることが急務だ」と訴えました。
 宮浦官房長は、従来の「需要に応じた生産」方針を改めて表明するとともに、「4月の『食料・農業・農村基本計画』で今後5年間の増産方針を決め、農地の大区画化やスマート農業などの構造転換が必要。放出すべき政府備蓄米は残っていないが、時間をかけ、タイミングをみながら買い戻して回復を図りたい」と述べました。

農水省も独自の食料支援制度を

 備蓄米について、笹渡副会長は「今年はたまたま作柄が良かったから増産となったが、凶作だったら大変な事態だった」と述べ、長谷川会長は「次年度21万トンの買い入れでは、27年3月まで備蓄米は空っぽになる」と指摘。湯川事務局長は「25年産で備蓄米の買い入れを行わず、主食用米が増えたというのは詐欺的手法だ」と批判しました。
 所得補償・価格保障制度について、宮浦官房長は「税金の支出が伴うため、国民の理解が必要。所得補償がいいのか、環境保全、中山間地のための直接支払いがいいのか、検討中だ」と答えました。
 さらに、おこめ券について宮浦官房長は「政府の経済対策である重点支援地方交付金として実施を検討している」と述べました。
 農民連は、政府として取り組むことは評価しつつも、「重点支援地方交付金は、あくまで限定的な経済対策。この格差社会では、米も買えない人がたくさんいる。ここに届けば需要増に直結する。農水省でも独自の支援を考えてほしい」と要請しました。