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原発ゼロと住民本位の復興をめざす大運動を提起 「原発なくす会」全国交流集会 「未来は変えられる」を合い言葉に(2025年11月24日 第1676号)

(左上から時計回りに)石川さん、谷さん、松久保さん、野木さん、三瓶さん、奥村さん、小網さん、庄司さん

 「原発をなくす全国連絡会」は11月8日、「原発ゼロをめざす運動全国交流集会」を開催しました。
 開会あいさつで全労連副議長の石川敏明さんは、「福島第一原発事故の収束の目途さえ立っていない中、政府はあたかも原発を『クリーンエネルギーの要』であるかのようにけん伝している。来年で事故から15年という節目を迎える中で、原発ゼロをめざす大運動のキックオフとして今日の集会を成功させたい」と述べました。
 「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」事務局長の谷雅志さんが連帯あいさつ。来年3月7日に東京・代々木公園で開催される脱原発大集会について、「原発をなくしたい、という思いで一致する広範な市民の結集で『原子力に頼らない社会を構築すること』が最も重要な政策だ、と声をあげましょう」と参加を呼びかけました。
 学習企画として「原子力資料情報室」共同代表で、経済産業省「原子力小委員会」委員の松久保肇(はじめ)さんが「考えよう 原発に依存しない私たちのくらし」と題して講演。松久保さんは最新著書『原子力の終活--産業としての終焉』(地平社ブックレット)の内容にも触れながら、原発は「経済的」にも「気候危機への対策」としても、「安全保障」上の観点からも優れていないことをていねいに解説。「膨大なコストと重大なリスクを抱えて突き進む未来は変えないといけない」と述べました。
 福島からの報告として、「ふくしま復興共同センター」代表委員の野木茂雄さんから原発廃炉の現状や、「帰還困難区域での活動自由化」などの問題が報告されました。野木さんは、「県民、国民の中にさまざまな疑問や不安があり、合意できていない中で政府方針として強行するやり方がそもそも問題だ」と指摘。

運動と展望
各地からの発言

 各地からの報告では次のような発言がありました。
 「私たちが原発事故被害の問題解決に向き合うことが、将来世代が原発と向き合う道筋になるという思いで裁判を闘っている。どうか皆さんも、ふるさとに戻れない苦しみを自分事として感じていただきたい」(福島県、「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」原告団の三瓶春江さん)
 「柏崎刈羽原発の再稼働について、花角英世知事は12月議会で『容認』発言や『議会への委任』発言をする懸念がある。東京電力は6号機の再稼働を前提に、1・2号機の廃炉と県への1000億円の拠出を発表し、県民から『札束でほほをはたくのか!』と怒りの声が噴出している」(新潟県、「原発をなくす新潟県連絡会」の小網孝志さん)
 「原発立地地域に住んでいない私たちは、関西電力の最も大きな電力消費地に住む者として原発の問題を自分事として考えよう、と運動に取り組んでいる。福井県の方々との連帯も大事にしている」(大阪府、「原発ゼロの会・大阪」事務局長の庄司修さん)
 「展望はある。反原発と反核燃の運動を統一して、各燃料サイクルによる再処理の方針をやめさせることができれば、日本の原発は動かすことができなくなる」(青森県、「核のゴミから未来を守る青森県民の会」共同代表の奥村榮さん)
 「原発なくす会」から今年11月から来年10月までを「原発ゼロと住民本位の福島復興をめざす大運動」期間とし、〇「原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める請願署名」を来年10月までに50万人分集める、〇福島の今を共有し、運動で連帯し、全国各地とを結ぶキャラバン行動を実施していくことなどが行動提起されました。