私のものづくり 熊本県農民連会長 笹渕賢吾(2025年12月22日 第1680号)
中山間地農業守るために地域の仲間と力合わせて
米部会つくって倉庫確保し産直
安全な米を届けたいと稲刈り
米倉庫の大掃除をみんなで
今年は昨年より温暖化・気候危機が進み農作業は大変でした。昨年は令和の米騒動があり、政府は来年、減産の方針です。主食の米生産の方針がコロコロ変わる猫の目農政に農家や消費者は振り回されています。
熊本県農民連は米部会をつくり、新日本婦人の会と病院と産直を行っていますが、年間を通じて届けられるように米倉庫を確保しています。11月中旬に部員が集まり初めて米倉庫の大掃除を行いました。倉庫に排水溝からネズミが入り、ふんなどもあったため、掃除機で全て吸い取り、床のベニア板も新しいものに変えて見違えるほどきれいになりました。生産者は生産者米価が高いと力が入ります。
私の住む町(和水=なごみ=町)は人口約9千人で毎年減少しています。中山間地城で農家は高齢化が進み、後継者は減少し続けています。基幹的農業従事者は20歳代が3人、30代が18人、40代が20人、合計で49歳以下は41人です。
田畑も耕作放棄地が増加し、山は樹齢50年以上の杉が多く伐採されずそのままの状態です。木材の関税がゼロになり、その後安い外材が輸入され、家の建築は外材になり、国産材が使われなくなりました。伐採し新しい幼木を植えれば二酸化炭素を吸収する気候危機対策にもなるでしょう。
農法として、現在慣行栽培と有機栽培を行っています。子どもの頃農家にはほとんど赤牛がいて田畑を耕していました。その後、機械化され耕運機からトラクターに代わり、手植えから歩行田植え機、乗用田植え機に代わりました。牛ふんを堆肥化して田畑に入れて土づくりをしていましたが、化学肥料に代わり、慣行栽培が主流になりました。
箱の苗を鍛えて丈夫な苗作り
私は有機無農薬で米を2ヘクタール栽培しています。田植えは疎植(横30センチ縦28センチ)で行い、風通しを良くし日差しが根元まで入り、病気や害虫を発生させない条件をつくるようにしています。
種もみの消毒は普通農薬に数日つけますが、農薬の代わりに木酢を使い、施肥は有機質肥料と生ごみ堆肥を施します。
ジャンボタニシと共生し、除草はジャンボタニシが担います。田植え後は3週間ほど水をためずに排水路に流してジャンボタニシが動けないようにします。その問に苗が固くなるため水を入れてもジャンボタニシは食べません。また田植え箱の苗に重いローラーを載せて鍛えると苗はしなやかで折れず堅くなります。ジャンボタニシが草を食べるので除草剤も使用しません。その結果、慣行栽培に対し収量は1割から2割少ないのですが、食べた人から「おいしい」と言われるときが、一番うれしく思います。
集落で話し合い耕作放棄地対策
町内でも耕作放棄地が増えています。集落営展組合が地城ごとに8組織存在し「農地が荒れるのを何とか防ぎたい」との思いから集落で話し合いを進めながら共同作業を行い、日当を出して農地を守っています。日当は「多面的機能支払交付金」を活用し地域の人に協力を求めています。高齢化が進むなかで若い人の手がほしい状況です。
町では昨年8月に有機農業等推進協議会を立ち上げ、安全な食料を学校給食に取り入れようと、先進地の他市町の取り組みや経験を研修しています。若いお母さんたちからは「学校給食に安全な地場産農産物を使ってほしい」の声が広がっています。
政府はAl(人工知能)活用の大規模農業を推進していますが、中山間地域は耕作面積が狭く条件が合いません。中山間地域でも農業生産が続けられる農業政策に転換させましょう。
(熊本県農民連会長 笹渕賢吾)

