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政府の責任を放棄し、備蓄米制度解体を推進(2025年12月22日 第1680号)

2026年度予算への財政審「建議」
農民連 抗議談話発表し財務省に要請
財務省は「建議」を受け入れず農業に十分な予算措置を行え

 財政制度等審議会(十倉雅和会長)は12月2日、「2026年度予算の編成等に関する建議」を片山財務大臣に提出しました。農民連は同日、長谷川敏郎会長名でこの建議に強く抗議し、財務省がこれを受け入れず、必要かつ十分な予算措置を行うことを要請する談話を発表し、12日に財務省に抗議しました。

米不足に「気付かず」とは何事か

抗議談話を手渡す長谷川会長
(右から2人目)、小池議員(左)

 建議は今回の米価高騰について、「農林水産省は、…結果として生産量が需要量に対して不足したこと、こうした実態に気付かず、備蓄米放出の判断が遅れたこと等が要因であると分析している」と他人事のように表現し、政府の責任を免罪しています。
 談話は、財政審が2003年度予算編成への建議で、「米は民間流通が基本となるとともに、米の政府買い入れは備蓄目的に特化し、生産が需要を上回り過剰が発生した場合にも、農業者の自己責任で対応することを基本とすべきである」と国の関与の縮減を推し進めてきたことを指摘し、「政府は責任を明確にし、市場任せの米政策を改めるべき」だと求めています。

政府備蓄米を適正水準に早期に回復せよ

 政府備蓄米は入札と随意契約による64万トンの放出により、現在32万トンしかないことから、事実上空っぽの状態であり、いつどんな災害が発生し米供給が不安定になるかわかりません。
 ところが、財政審は備蓄米制度の解体を主張し、「流通段階にある民間在庫の一部を『民間備蓄』として活用すること」を提言しています。談話は「米の『民間備蓄』は生産増にはつながらず、食料不足となった際には営業秘密の壁があり備蓄としての機能を果たせるかは不明」だとして、「25年産米について本来の備蓄米21万トンを買い入れるとともに、早急に100万トンへの回復をすべき」だと提案しています。

MA米を備蓄米にするのは許せない

 トランプ関税の圧力でアメリカ産米輸入の拡大を受け入れ、農水省は、日米関税合意・共同声明に基づき「ミニマムアクセス(MA)米制度の枠内で、迅速に米国産コメの調達を75%増やす」としています。いざというときには外国米を食べろということであり、「MA米が政府備蓄米の代替機能を果たすとすれば、政府備蓄米制度そのものの解体」だと批判しています。

飼料用米を水田活用直接支払交付金から外すな

 建議では、「飼料用米については、高い交付金(水田活用直接支払交付金)単価が設定され、2015年以降、飼料用米への転作が急速に拡大し、多額の財政負担につながっている」と、飼料用米を目の敵にしています。
 談話は「日本の食料・穀物自給率を向上させるためにも、輸入依存の畜産酪農を国内の自給飼料増産に切り替えることは緊急かつ不可欠の課題。これまで国産飼料稲に切り替える努力をしてきた畜産農家はエサ不足に苦しんでいる。飼料稲に対する支援強化こそすれ、削減することに反対」だと述べています。

 農民連は12月12日、財務省を訪れ、担当者に抗議談話を手渡しました。
 長谷川会長は「農水省は『こうした実態に気づかず』とは言っていない」と指摘。財務省は「そういった趣旨のことは言った」と強弁したのに対し、「農民連は昨年から『このままでは米不足を招く』と再三忠告してきた。気づかないはずがない」と強く抗議しました。
 さらに「多くの農家は交付金の拡充を求めている。現場の声を聞け」とただしました。
 日本共産党の小池晃参院議員が同席しました。