アイコン 新聞「農民」

移動式こども食堂が駆け回る(2026年01月05日 第1681号)

おなかを空かせた子ども 一人でも減らしたい 
おとなに頼れずに毎日懸命に  生きている姿を目の当たりにして
過去に苦い思い今度は勇気もち一歩を踏み出す

田端希さん千葉・佐倉市

トラックには田端さんの実った稲穂が
大きくプリントされています

 こども食堂は2025年度に過去最多を更新し1万2601カ所まで増加しました。農民連も各地で参加や支援をするなど、取り組みを広げています。千葉県佐倉市の田端希(のぞみ)さんの取り組みを紹介します。

子どもだけ利用見かけない現実

大ぶりのおにぎりを提供

 移動販売計画の発端は自家製の「お米のアイス」を移動販売したいというものでした。しかしこども食堂の様子を見て計画を変更しました。
 田端希さん、大輝さん夫妻の住む佐倉市内には現在23カ所でこども食堂が開かれています。自身も子どもたちと利用したり、大輝さんもボランティアに参加したりしていましたが、「子どもだけで利用している姿はほとんど見ない」と希さんは話します。
 「身近に頼れるおとながいない子どもは、そもそも子ども食堂のことを知らなかったり、知っていても開催場所が遠かったり、時間が合わず利用できないことがあります」
 この現実を見たときに、希さんは学校勤務時代の経験を思いだしたといいます。「大卒後、体育の講師として中学校に勤務していました。夏休み明けにやせて学校に来た生徒を見た時に、とてもびっくりしましたが、私は何もできませんでした。おとなを頼れずに毎日懸命に生きている子どもたちが、豊かに見える日本にも確かに存在する。それを目の当たりにしたにも関わらず、私はその場から逃げてしまったのです。とても恥ずかしい選択だったと、今でも思います。今度は勇気をもって子どもたちに自分から届けたいとの思いで計画しました」

おとなが購入し子どもに提供

子どもたちが集まってきています

 ベースとなるトラックは中古で購入し、キッチンなどの搭載費用はクラウドファンディングを活用しました。3カ月ほどで230万円以上が集まり、自己資金と合わせて改造。2025年8月から移動式こども食堂「農car(ノウカー)」が始動しました。
 提供しているのはおむすびとみそ汁です。原料のお米は田端さんの自家採種・自然栽培米を使用。野菜も田端さんのものや地元農家の野菜や規格外品を活用しています。国産大豆のみそやのり・塩にもこだわりました。大ぶりのおむすびで子どもたちのかむ力を育てるなどの配慮も。代金はおとながチケット(500円)を買うことでまかなうシステムです。

社会問題考えるきっかけにも

 「子どもは場所にとらわれず無料でおむすびとおみそ汁を食べることができます。自分たちや地域の農家の規格外野菜も活用できますし、消費者を巻き込んでいくことで、食と農や子どもの貧困など社会問題を考えるきっかけにもしてもらいたいです」と話す希さん。
 「子どもが明日のご飯に不安を抱えない社会」の実現に向けて、仲間と佐倉市内を駆け回ります。